著者
名川 勝
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

一般には後見申立にかかる提出書類のうち基礎資料、財産資料、医学所見にかかる資料以外で、本人に関する社会的、心理的情報などをソーシャル・レポートと呼んでいるようだが、本研究では申立添付書類以外でも本人の後見事務に関して取り扱われる資料を含めた。そのうえで研究動向の調査ならびに実務の実際に関する調査を行った。各地の家庭裁判所における書式は所定の申立書類様式に身上監護に関する情報もあらかじめ求めるようになってきており、これをソーシャル・レポートに含めることもできるかもしれないが、十分とは言えないとの指摘が得られた。この場合、ソーシャル・レポートは本人のより正確な審判を得るため、とりわけ類型判断に有用な情報であるとの意見があった。また第三者後見の場合に候補者となるべきかの情報になり得るとの意見もあった。しかしながら、そのような詳細な情報収集を申請時書類に含めることは、却って申請を困難にするとの指摘も同時に得られている。ただしいずれの回答者についても申請前あるいは申請後によりよい後見事務を執り行うためにこれらソーシャル・レポートに関連する情報は必要との点では異論は無かった。ソーシャル・レポートに関わる情報は生活支援との関連が強いことから、今後はさらに審判前後それぞれの取り組みと他機関も含めた連携のあり方からよりよい情報のあり方を検討する。

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こんな研究ありました:成年後見制度の審理過程におけるソーシャル・レポート適用に関する基礎的検討(名川 勝) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/20653033

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