- 著者
-
下田 慎治
- 出版者
- 九州大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2010
原発生胆汁性肝硬変(PBC)は慢性非化膿性破壊性胆管炎を病理学的特徴とする臓器特異的自己免疫疾患である。今回胆管上皮細胞破壊におけるToll様受容体(TLR)リガンドとNK細胞の役割を明らかにした。TLR3リガンド刺激で単球から産生されるIFN-aの存在下で、TLR4リガンドで刺激されたNK細胞が、自己の胆管上皮細胞を破壊する事が明らかになった。実際に肝臓由来の単球からのIFN-a産生はPBCにおいてその他の疾患対照群と比較して亢進していた。また免疫染色の結果から破壊された胆管周囲にCD56陽性のNK細胞がPBCでより多く散在している事が明らかとなった。次にマウスモデルを用いて、病初期の免疫誘導にNK細胞のような自然免疫攻撃細胞の果たす役割を明らかにした。NK細胞を除去すると抗ミトコンドリア抗体の産生や自己抗原反応性T細胞からのサイトカイン産生が抑制された。しかし門脈域の炎症は対照群と比較して大きな差は認め得なかった。これらの結果は、PBCの病因病態は多段階あり、NK細胞は免疫寛容の破綻に関与している事が示唆された。