著者
湯沢 質幸
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1 日本漢字音資料, 取り分け中近世漢字音資料として有用なものを追求すべく, 京都泉涌寺を初めとして東北大学, 京都大学, 国立国会図書館等を巡り, 漢字音文献の調査を行った.2 各調査箇所において, 本研究に寄与する文献のリストアップ及び一部収集をした. 泉涌寺では特に執筆から,宋音(資料)に係わる実際の読経音や経文に付された各種記号の指示内容についての貴重な情報を直接得ることができた.3 本研究開始以前に収集したものも含め, 資料の分析を日本漢字音史の展開を脳裏に置きながら進めた. それとともに, 分析結果のコンピュータ処理を図るため付属部品を購入し, 必要な情報の入力を行いつつ所期の目的に沿って従来の研究を踏まえながら中近世漢字音, そしてその一構成要素であるところの泉涌寺宋音について考察を試みた.4 考察の過程で, 中近世漢字音なかんずく泉涌寺宋音の特徴の把握や歴史的な位置づけをし, さらにそれを通じて中近世日本語の音韻状態を明らかにするためには, 上代以降の日本漢字音史の解明が必要であることが明白となった. そこで, 中近世漢字音・宋音の研究を旨としながらも, 上代中古の漢字音すなわち呉音漢音の研究も行った.5 上記4までの研究の結果, 当初の目的を達成することができた. その成果の一部は, 62年度中に発刊予定の筑波大学の紀要で発表する. なお, 現在, その他の成果の発表を行うべく準備を進めている.

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