著者
後藤 幸弘 成田 憲一
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

新潟地区の日本海沿岸において、冬季雷の観測が、磁鋼片、ディジタル電流波形記録システム、フィールドミル、静止カメラやビデオ記録システムを用いて継続している。昭和62年度の冬より、新たに静電アンテナ(スローアンテナ)を試作し、互いに数百m離れた3地点に設置して、バイポーラ雷撃に伴う雷雲中の電荷領域の消滅の様相を測定するようにした。しかしながら、研究期間中には、一度もバイポーラ雷が発生せず、観測できなかったが、冬季雷特性の総合的な観測は継続して行われ、観測結果の解析、検討も引続いて行われた。磁鋼片の測定では、昭和51年10月より平成元年1月までの期間に65例のデータが得られた。その内8例は磁鋼片の測定範囲未満の小電流で残りの68%は負極性雷、32%が正極性雷であった。昭和57年冬より、ロゴスキコイルを電流センサにしたディジタル波形記録システムを導入し、これまで60例の波形を得た。このうち15%がバイポーラ雷であった。一方地上静電界変動と冬季雷発生の気象条件も検討された。冬季雷襲来時は、夏期と大きく異なり、非常に激しく正負に振れるものであった。また地表面附近の空間電荷の影響が大きいことが確認された。輪島の高層気象データと巻地点の観測鉄塔でのデータおよび日本海の海洋ブイステーションでのデータより、冬季雷の発生条件を求めることができた。ビデオカメラによる雷放電撮影も順調で、昭和59年より2方向、昭和61年より3方向の撮影となり、これまで115例のデータが得られた。ほぼ全てのチャンネルは上向き放電の様相を呈している。バイポーラ雷の波形は大きく2種類に分類された。特に正の電流に負の電流パルスが重量している例が観測されたが、その発生要因については、今後継続される予定の観測に依存している。特に今回の補助金で導入できた3地点スローアンテナによる雷界測定のデータがその原因解明の糸口となるであろう。。

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こんな研究ありました:日本海沿岸冬季バイポ-ラ雷の三次元空間解析(後藤 幸弘) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/62550193

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