著者
清水 孝宏 松山 美智子 豊見山 直樹
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.679-683, 2015 (Released:2015-04-20)
参考文献数
22

経腸栄養法を行う場合、経腸栄養チューブの先端が目的とする場所に留置されているかを確認しなければならない。その理由として誤って気道内に留置され気胸を発症するリスクがあることや、栄養剤等が気道に注入されることで誤嚥性肺炎を起こす危険性があるからである。挿入された胃管の先端位置を確認する方法は X線撮影による確認、気泡音による確認、呼気二酸化炭素検出による確認などがあるが最も信頼性のある確認方法は X線撮影による確認である。胃内残量については経腸栄養を胃内投与した場合の消化管の耐性を評価する目的で行われている。胃内残量が500mL以上と多い場合には栄養剤注入を中止すべきであると、国内外のガイドラインで記載されているが明確な根拠があるわけではない。経腸栄養は安全性を確保しつ、可能な限り中断せずにステップアップし適切な量を維持することが重要である。そのためのチューブ位置確認や胃内残量管理は注目すべき事柄であろう。
著者
田中 彩 下野 隆一 今大路 治之 鈴木 基生 桑原 知巳
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.1095-1098, 2016 (Released:2016-10-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

私たちの身体には多数の常在菌が存在し、正常細菌フローラを形成している。このうち腸内フローラは生体機能に深く関与しており、宿主と共生しながら様々な生理作用を示すことが知られている。腸内フローラは疾病の発症にも関連があるとされており、その構成と機能が大きく注目されている。従来は培養法による解析が行われてきたが、近年のシークエンス技術の進歩により腸内フローラの全貌が解明されつつある。腸内フローラの解析は個人の健康指標ともなり得るといわれており、短腸症候群などの腸管不全患者における腸内フローラの構成は健常者と大きく異なると予想される。これらの患者において、腸内フローラを是正し、正常な腸内フローラを形成・維持することは腸管機能を最大限に発揮するために重要であると考える。