著者
藤生 和也
出版者
公益社団法人 日本下水道協会
雑誌
下水道協会誌 (ISSN:00214639)
巻号頁・発行日
vol.54, no.658, pp.126-133, 2017

<p>日本の下水道整備は漸く高普及段階に到達し,劣化データも蓄積されつつある.本研究はテレビカメラ調査結果の大規模データベースを統計解析し,コンクリート下水管について布設工事直後の劣化保有率を統計的かつ定量的に推定する.解析の結果,劣化保有率及び95%信頼区間は,6種劣化 (破損,クラック,腐食,たわみ,継手ズレ及び浸入水) について約66%±12%,破損について約18%±10%,クラックについて約34%±11%と推定される.</p>
著者
上村 繁樹 大久保 努 野本 直樹 原田 秀樹
出版者
公益社団法人 日本下水道協会
雑誌
下水道協会誌 (ISSN:00214639)
巻号頁・発行日
vol.56, no.686, pp.114-120, 2019

<p> 本報では,インド国ウッタルプラデーシュ州アグラ市において建設された,処理水量5,000m<sup>3</sup>/dのDHS(Down-flow Hanging Sponge)実規模実験プラントで形成されたDHSスポンジ担体付着汚泥(アグラDHS担体汚泥)の性状について報告する.アグラDHS担体汚泥は,日本の通常の初沈流出下水で形成されたものと比較して,非常に粘土質で,汚泥濃度が約100g-DS/L-spongeと高く,そのうち60%近くを無機物質が占めていた.またその表面は<i>Thiothrix.</i> spからなる硫黄マットで覆われていた.アグラDHS担体汚泥の無機成分をX線回折と蛍光X線分析で解析した結果,主にカオリン類という粘土類が検出された.さらにアグラDHS担体汚泥に対する初沈流出下水の処理性能試験および水の浸透度試験を行った結果,カオリン類の蓄積の影響により,スポンジ担体への水の浸透が阻害され,DHSの処理性能に悪影響を及ぼしている可能性が示唆された.</p>
著者
髙島 英二郎
出版者
公益社団法人 日本下水道協会
雑誌
下水道協会誌 (ISSN:00214639)
巻号頁・発行日
vol.55, no.663, pp.95-99, 2018-01-01 (Released:2018-12-04)
参考文献数
16

降雨強度mm/hは1時間降雨量とは異なり,強度(率)として異なる継続時間どうしでの比較を可能にする. 流達時間は,排水区域(流域)のスケールを時間で表わした性格のもので,合理式の重要な要素である. 下水道排水区域においては,流達時間は1時間より短い場合が多く,合理式は「流達時間内の平均降雨強度」を用いる点で,雨水流出量算出手法として合理的である. 合理式・合理式合成法とタイムエリア法は同種の手法である. 雨水流出量ピークの発生要因は,排水区域全体から雨水流出が集中することと併せ,降雨強度に変動があるため,流達時間内の平均降雨強度が最も大きい時間範囲の雨水が流達することである. 流出係数については総合的な補正係数として捉え,今後,雨水流出量の実測データを積み重ねることにより,当該排水区域に合わせた流出係数等の調整を行い,流出計算の精度を高めていくのがよい.