著者
金枝 敏明 石岡 建一
出版者
公益社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.475-480, 2012-07-01 (Released:2013-04-08)
参考文献数
9

本論文はNi基超耐熱合金インコネル718板切削における切削油剤の塗布効果について調査を行ったものである.現在までに著者らによって軟質金属切削における切削油剤の塗布効果について広範にわたり調査されてきた.しかし難削材切削におけるそれに関してはいまだ不十分である.そこで,本研究では難削材であるニッケル基超耐熱合金インコネル718に対し塗布効果実験を行い,塗布効果の発生条件,メカニズムについて調査した.その結果,インコネル718切削における塗布効果のメカニズムも軟質金属のそれと類似し,切りくず自由面側のラメラ間の摩擦低減によるものであることがわかった.
著者
中西 栄徳 青木 誠 多原 幸宏 牧 清二郎
出版者
公益社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.605-609, 2013-09-01 (Released:2014-04-22)
参考文献数
4

本研究では,ナイフ状の刃物を用いて塩化ビニル製パイプの切断加工実験をおこない,刃先形状の変化と切断荷重の関係を評価した.その結果,刃先丸みや先端部に施す刃付けの角度を小さくすることで切断荷重も小さくなることを明らかにし,さらに切断時において刃物と樹脂との間に発生する摩擦力が切断力に対して大きな割合を示すことを明らかにした.また,刃先表面に施す研磨方向と摩擦力との関係を調べ,研磨方向と摩擦方向とがなす角が小さいほど摩擦係数が小さくなることを実験的に示した.
著者
楠山 純平 小松 奏絵 橋本 匠海 棚田 耀介 中尾 陽一
出版者
公益社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.254-259, 2020-05-01 (Released:2020-12-17)
参考文献数
13

マシニングセンタや複合加工機の場合,工具交換機能を有しており,工具の種類や工具径を変えながら加工が進められるため,主軸回転数も頻繁に変化させることになる.その結果,主軸回転数によってモ-タ発熱量や熱変形特性は変化する.したがって,スピンドルの発熱特性を把握して,適切な冷却構造をスピンドルに具備させたうえ,適切な冷却条件で冷却を行うことによって,高い加工精度を実現することが望まれる.とくに,最近,主流になっているビルトインモ-タスピンドルについては,モ-タの発熱がスピンドルの発熱や熱変形に直接影響する.本報では,開発した冷却構造を備えたビルトインモ-タスピンドルに対して,実験では測定が困難なスピンドル内部の温度変化と温度分布を熱解析シミュレ-ションにより検証した.さらに,水を冷却流体として供給し,スピンドルの回転数の違いによる温度変化,各冷却条件における冷却効果を実験的に明らかにし,シミュレ-ションとの比較を行った.
著者
山崎 繁一 庄司 克雄 厨川 常元 岡西 幸緒 小倉 養三 福西 利夫 三宅 雅也
出版者
公益社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.506-510, 2005 (Released:2006-08-11)
参考文献数
4

前報では, チタン合金コアのブレードとチタン合金製フランジとを組合せて, 周速450m/sでの回転試験に成功した. 本報では, 本ブレードをベースにして, 周速350m/sの超高速研削切断に使用可能なブレードを開発したプロセスについて述べる. 最初に, 前報で試作したコンティニュアスタイプのブレードを用いた場合, 5.9MPaの高圧ノズルを使用してクーラントを供給したにもかかわらず, 周速100m/s (工作物・砥石速度比 v/V = 0.0833×10-3) で研削焼けが発生した. そこで, 砥石外周にセレーション (半円状の切り欠き) を設けたところ, 正常な研削切断が可能になった. しかし周速をさらに200m/sに高めると, 再び研削焼けが発生した. そこでさらにセレーション間のランド部側面にフルート (導水溝) を設けて, 切断面へのクーラントの到達を促した. その結果, 周速300m/sでも研削焼けが生じず, 研削抵抗値の安定した加工が可能であった. さらに高周速化するために高強度のボンド剤を採用し, セレーションおよびフルートの数を半減して砥石部の高強度化を図った. その結果, 最終的に周速350m/sで, 研削焼けのない正常な超高速研削切断に成功した. これは, これまで報告されている超高速研削の砥石周速としては, 最高速である.