著者
天岩 靜子 増田 桃子 Shizuko Amaiwa Masuda Momoko
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 : 共大研究 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.211-225, 2013-03-31

絶対音感保有者は、ある音高を他の音高を参照することなく、音楽的音高名で即座に同定することができる。音を音階名(言語)として認識できるのである。そこで、3 種類の音(ドラム、ピアノ、階名の発声音)を聴きながら視覚的に現れる数字を記憶する課題を与え、脳前頭のどの部位が活性化するかを、fNIRS(functional Near-Infrared Spectroscopy:機能的近赤外分光分析法)を用いて測定した。前頭部位を、(1)中央の前頭葉+ 前頭前野背外側部、(2)右下前頭、(3)左下前頭に分けて検討した結果、絶対音感保有者は、非保有者に比べてピアノ音に対して敏感であり、数字の記憶課題解決の際には、ピアノ音がある場合に前頭の中央部と言語野のある左下前頭で活性化が著しく、干渉効果が認められた。絶対音感保有者は前頭の左部分で数字の記憶をする一方、ピアノ音についても同じ脳部位で処理していることが確認された。Absolute pitch possessors have the ability to realize the musical pitch name immediately without comparison to other sounds. We investigated their ability to perform visual numbermemorizing-tasks while simultaneously listening three kinds of stimuli-drum, piano, and a human voice announcing the musical pitch names. Using fNIRS (functional Near-Infrared Spectroscopy), we analyzed blood flow changes on the prefrontal area of the brain. Absolute pitch possessors responded to piano sound more sensitively, and their left and middle parts of the prefrontal area were highly activated while performing number-memorizing-tasks compared with non-absolute pitch possessors. It was confirmed that absolute pitch possessors processed sounds and numbers in almost the same area of prefrontal brain.
著者
中村 哲也 丸山 敦史 矢野 佑樹 Tetsuya Nakamura Maruyama Atsushi Yano Yuki 共栄大学 千葉大学 スウェーデン農業科学大学
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.89-106, 2009
被引用文献数
1

本稿では、栃木産にっこりととちおとめが、香港やバンコクの如何なる購買層に評価されるのか、プロビットモデルを推計し、考察した。分析の結果、下記の諸点が明らかにされた。まず、香港・バンコクにおける国産ナシ品種と国産イチゴ品種の認知度は非常に低かった。今後、栃木産にっこりととちおとめを輸出する際は、輸出専用パッケージ等による品種のイメージアップを図る必要があるだろう。そして、とちおとめは香港では大きさが、バンコクでは香りが評価された。そして、にっこりは中高年層に、とちおとめは女性に評価が高かった。最後に、香港でのにっこりの価格は中国産ナシの4倍、バンコクでのとちおとめの価格はタイ産イチゴの7倍の価格差があった。そして、香港ではにっこりは8割弱が、とちおとめも7割弱が、調査当日の小売価格または若干高くても購入するという回答が得られた。ただし、バンコクでは8割弱が、調査当日の店頭小売価格ならば購入しないという結果となった。そして、プロビットモデルの推計結果から判断するならば、今後の香港でのとちおとめ輸出は、中高年層をターゲットとし、食味評価の高い女性を如何に購買層に取り入れるかが輸出拡大のカギとなるだろう。
著者
山田 耕生 Kosei Yamada
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.107-121, 2009-03-31

本稿では、浦和レッズとその本拠地であるさいたま市浦和地域(旧浦和市)を事例に、プロサッカークラブの発足に伴う「サッカーのまち」の変遷を明らかにした。浦和地域では1960年代から70年代にかけての約20年間の地元高校サッカー部による数々の全国優勝によって「サッカーのまち」としての認識が形成された。1993年に開幕したJリーグ以降は、行政、商店街などにより、サッカーのまちづくりが進められた。2000年代に入ると、浦和レッズも本格的に地域貢献活動に取り組むようになった。このように、Jリーグ開幕時からサッカーのまちづくりが着々と進展した要因は、地域住民の「サッカーのまち」としての認識やアイデンティティがあるためである。さらに、浦和レッズの地域貢献活動は本業のサッカーの強化には繋がらないが、結果として浦和レッズがさらに地域へ受け入れられるものになり、さらには浦和地域の「サッカーのまち」づくりが一層進んでいくものと考えられる。This paper deals with the case of Urawa district in Saitama City which successfully created the "Soccer Town" by establishing its local professional soccer team "Urawa Reds." Historically, winning several national championships of soccer tournaments by local high school teams formed recognition of Urawa district as the "Soccer town" in its 1960s and 1979s. Since the establishment of the national professional soccer league, "J-league" in 1993, both Urawa shopping districts and the local government have enthusiastically promoted the creation of "Soccer town" in Urawa. Urawa Reds itself has also positively participated in local activities since the 2000s. Thus, significant success of the creation of "Soccer town" in Urawa is mainly due to strong recognition and identity by local people as the "Soccer town" in Urawa district. Although such regionally contributing activities is not directly connected with the performance of soccer players in Urawa Reds, the team has received enthusiastic support, contributing to the further success of Urawa district as the "Soccer Town" as a result.
著者
岸本 肇 Hajime Kishimoto
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 : 共大研究 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.165-177, 2013

本研究は、第一次世界大戦中の在日ドイツ兵捕虜のスポーツ活動について、新発見と未解明な事柄とを示しながら、以下の3 つの検討課題を提起する。 1. 研究対象を全16 捕虜収容所へ拡大することにより、彼らのスポーツ活動の全体像を把握する。 2. スポーツをよくしたドイツ兵の国民性から、虜囚生活におけるスポーツの意義を考究する。 3. 各ドイツ兵捕虜収容所におけるスポーツ要求に対する「厚遇」程度を分析するためには、日露戦争当時のロシア兵捕虜のスポーツ活動との比較も必要である。
著者
小川 智弘 Tomohiro Ogawa
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.1-13, 2009

アメリカのサブプライムローンの問題に端を発する、2008年夏に始まった今回の世界的な金融危機に直面して、資本主義経済は二度目の大きな挑戦を受けている。第一回目は1929年の世界大恐慌であり、このとき財政出動により経済を救うという形で、重商主義の時代以来初めて、大きな政府が登場した。そして、今回の危機で、政府が経済を救うという形で市場に介入し、さらに大きな政府が出現しようとしている。この問題を、資本主義経済に特有な長期の景気変動の問題と資本主義の本質という面から、その変わりゆく姿を資本主義のエートスの変化と捉え、市場と政府(ないしは国家)との関係として分析し、それがどのようになって行くのかを考察している。
著者
金山 康博 Yasuhiro Kanayama
出版者
共栄大学国際経営学部
雑誌
共栄大学研究論集 : 共大研究 (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.227-249, 2013-03-31

学校教育制度の改革は、絶対不可欠条件として児童・生徒の発達段階を考慮することが必要である。特に、学級集団の規模が、小学生から高校生まで上限定数40 人で良いとする現行の根拠を明らかにし、少人数学級実現に向けて、学年発達段階を踏まえた学級編制改善策を学校現場から提起することが重要である。 その上で1 人の教師が経営する学級集団の適正規模を考察し、「クラスサイズは誰が決めるのか」という課題を設定する。教育指導の有効なシステム化を図り、教師たちが最大の力量発揮と最大の効果を上げられるような仕組みを提示したい。This paper considers the children's and students' developmental stages as something that cannot be left out with regard to the reformation of the school education system. It is important, especially, to explain the reasons why a maximum class size of 40 , from elementary school to high school, is considered good; to work towards the realization of even smaller classes; and to raise the topic of improving class organization to best suit the students' stage of development. In addition, I consider the ideal class size for one teacher and to discuss the issue of "Who decides the size of the class?" By planning an effective system for educational instruction, I would like to present a system where teachers can perform their best and deliver the best results.