著者
三村 竜之
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-14, 2015

北ゲルマン語の一つであるアイスランド語は英語やドイツ語と同じくストレスアクセントの言語であり、語は主強勢を担う音節を必ず一つ有する。従来、副次強勢は主強勢を担う音節(人名や並列的複合語など一部の例外を除き、全て語の第一(左端の)音節)から数えて奇数番目の音節に現れるとされてきた(例: 第3音節、第5音節、等々)。しかしながら、なぜこれらの強勢を全て一律に「副次」強勢と判断するのか理論的な根拠が全く示されておらず、また反例と思われる具体的事例も確認されている等、先行研究には種々の問題点や検証すべき課題が残る。そこで本小論では、語形や語構造、前後の環境など様々な条件の下で採取した一次資料を通じて先行研究の主張を批判的に検証し、アイスランド語のリズムの仕組みに関して詳細に考察するとともに、アイスランド語における副次強勢の生起条件とその音声的・音韻論的特性を明らかにする。
著者
三村 竜之
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
no.14, pp.147-158, 2016

本小論考の目的は、アイスランド語の文音調を記述する上で有意義かつ重要と考えらえる基本概念の提案並びに整理・整備にある。アイスランド語はストレスアクセントの言語であり、これまで筆者は強勢の所在やリズムを考察する上で、音節構造や母音量等の要因に加え、音調の型やその遷移にも着目してきた。本論考では、語の考察を通じてこれまで得られた知見を検証・補強すべく、筆者の採取した一次資料に基づき文におけるリズムや音調を考察し、その結果、以下に示すような、文音調の基盤を形作る諸概念の提案と諸側面の解明を試みる: 文は一つないし複数のリズム上の単位から成る; 単位の数や切れ目は文のテンポや意味に依存する; 各単位には(ほぼ)一定の型の音調が被さり、これらの音調の総和と文の種類(例: 疑問文)により文音調が決定される。
著者
JOHNSON Michael Paul
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.147-160, 2015-03-30

This paper describes an ongoing study evaluating the motivational effect of graded readersand extensive reading on Japanese engineering students learning English as a Foreign Language (EFL).The study evaluates attitudes and motivational orientations towards graded readers following asemester-long reading class which required learners to read extensively and take online quizzes via theMoodle Reader Module. Motivational orientations were assessed using the Graded ReaderInstructional Materials Motivational Survey (GR-IMMS), a questionnaire comprised of adapted scalesfrom Keller’s (2010) Instructional Materials Motivational Survey (IMMS) and open-ended items.Results of 270 (n=270) completed surveys indicated that the majority of learners positively endorsedextensive reading and the online evaluation system, and that content features, genre and textcharacteristics influenced learners’ perception of texts. Each of the cognitive variables examined inthe GR-IMMS scales were also positively endorsed. The implications of these findings are discussedas they relate to Japanese engineering students learning EFL.
著者
大喜多 紀明
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.85-104, 2014-03-30 (Released:2016-02-15)

本稿では、アイヌ語を生来の母語としない三名のアイヌ民族(上田トシ・富菜愛吉・違星北斗)による言語資料に関する分析を、アイヌ民族の民俗的修辞とされる交差対句の使用を確認する視点から行った。その結果、本稿で採用したテキストに関しては、交差対句の使用が見出された。このことは、アイヌ民族に特徴的に見出される修辞である交差対句の使用が、アイヌ語を母語としないアイヌ民族へと継承されていることを示唆する知見である。
著者
福盛 貴弘
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
no.12, pp.179-189, 2014

2013年8月28日~30日まで、宮崎県都城市を訪れた。方言調査が目的である。アクセントに関する予備調査であった。その時に記述したこと、考えたことなど雑感を示したエッセイである。都城方言については、都城方言は語末音節で高くなる語声調方言であるが、アクセントの下がり目が併用される語があるということを記している。エッセイ
著者
藤田 健
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
no.12, pp.121-142, 2014

In Spanish the system of the demonstrative adjectives consists of three elements, este, ese and aquel, while in Italian it consists of two elements, questo and quello. We examine the syntactic distribution of these demonstrative adjectives in the corpus (a Spanish text and its Italian translation, an Italian text and its Spanish translation, and the Spanish and Italian translations of texts written in other languages), taking into account the distributional correspondence between them and the definite article. We observe a close connection between ese and questo, a distant relation between este and quello and a distant relation between aquel and questo, and conclude that these characteristics are caused by the person feature of each demonstrative adjective.