著者
尾崎 真澄
出版者
千葉県水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.1, pp.39-42, 2006 (Released:2011-03-05)

1)千葉県亀山湖に生息するオオクチバス資源の評価に用いる資料とするため、遊漁によるキャッチアンドリリースを想定した空中曝露後の生存率について飼育池を用いて試験を行った。2)2000年8月1日に、30℃以上の気温の下で、空中曝露時間を0分、5分、10分および20分区に設定して試験を行ったところ、へい死魚はなかった。3)2001年10月22日に、気温約20℃の下で、空中曝露時間を15分、30分、45分および60分区に設定して試験を行ったところ、15分および30分区ではへい死魚はなかったが、45分区で50%が生存し、60分区ではすべてへい死した。4)45分区におけるへい死個体と生存個体の間で体長による有意差はなかった。5)60分区において、試験日当日のへい死個体とその後のへい死個体間の体長による有意差はなかった。6)各試験の観察結果から、20分以内の空中曝露では、生存に大きな影響を与えないものと考えられた。7)このため、一般に行われているバス釣りでのキャッチアンドリリース行為における空中曝露時間では、再放流された個体の多くが生存していることが推測された。
著者
尾崎 真澄
出版者
千葉県水産総合研究センター
雑誌
千葉県水産総合研究センター研究報告 (ISSN:18810594)
巻号頁・発行日
no.1, pp.39-42, 2006-03

1)千葉県亀山湖に生息するオオクチバス資源の評価に用いる資料とするため、遊漁によるキャッチアンドリリースを想定した空中曝露後の生存率について飼育池を用いて試験を行った。2)2000年8月1日に、30℃以上の気温の下で、空中曝露時間を0分、5分、10分および20分区に設定して試験を行ったところ、へい死魚はなかった。3)2001年10月22日に、気温約20℃の下で、空中曝露時間を15分、30分、45分および60分区に設定して試験を行ったところ、15分および30分区ではへい死魚はなかったが、45分区で50%が生存し、60分区ではすべてへい死した。4)45分区におけるへい死個体と生存個体の間で体長による有意差はなかった。5)60分区において、試験日当日のへい死個体とその後のへい死個体間の体長による有意差はなかった。6)各試験の観察結果から、20分以内の空中曝露では、生存に大きな影響を与えないものと考えられた。7)このため、一般に行われているバス釣りでのキャッチアンドリリース行為における空中曝露時間では、再放流された個体の多くが生存していることが推測された。
著者
小林 正三
出版者
千葉県水産総合研究センター
雑誌
千葉県水産総合研究センター研究報告 (ISSN:18810594)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-7, 2015-03

1) ヨシキリザメ肉のはんぺん加工適性を評価するため,原料のpH,インピーダンス比,K値および試料の水分を測定し,調製したはんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価との関係を調べた。2) 原料のpHは,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関が認められ,その相関係数はもっとも高く,はんぺん原料の品質指標としてもっとも適していた。3) ホモジナイズ液の濁り具合は,原料のpHと相関があり,pH測定に代わる官能的な品質指標として有効であった。4) 原料のインピーダンス比は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpHに次いで高かった。死後硬直前など鮮度が良すぎる原料を除けば,はんぺんの官能評価とも相関が認められた。5) 原料のK値は,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関がなかった。6) 試料の水分は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpH,インピーダンス比に次いで高かった。7) はんぺん加工に適したヨシキリザメは,死後硬直しアンモニア臭がしないもので,pHは5.5~6.7の範囲では高いものほど,インピーダンス比は低いものほど,水切り後の水分は高いものほどはんぺん加工適性が高いことが分かった。
著者
小林 正三
出版者
千葉県水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-7, 2015 (Released:2015-09-10)

1) ヨシキリザメ肉のはんぺん加工適性を評価するため,原料のpH,インピーダンス比,K値および試料の水分を測定し,調製したはんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価との関係を調べた。2) 原料のpHは,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関が認められ,その相関係数はもっとも高く,はんぺん原料の品質指標としてもっとも適していた。3) ホモジナイズ液の濁り具合は,原料のpHと相関があり,pH測定に代わる官能的な品質指標として有効であった。4) 原料のインピーダンス比は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpHに次いで高かった。死後硬直前など鮮度が良すぎる原料を除けば,はんぺんの官能評価とも相関が認められた。5) 原料のK値は,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関がなかった。6) 試料の水分は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpH,インピーダンス比に次いで高かった。7) はんぺん加工に適したヨシキリザメは,死後硬直しアンモニア臭がしないもので,pHは5.5~6.7の範囲では高いものほど,インピーダンス比は低いものほど,水切り後の水分は高いものほどはんぺん加工適性が高いことが分かった。
著者
梶山 誠 濱岡 秀樹 濱岡 明子
出版者
千葉県水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.12, pp.81-88, 2018 (Released:2018-07-04)

東京湾の富津干潟周辺海域で1998~2016年にアマモ類の分布調査を実施した。同海域にはアマモ,タチアマモ,コアマモが分布し,分布範囲は4km2,そのうちアマモ群落の面積は1.32km2,群落の密度は33%と推定された。群落面積は1999~2001年に低位で推移した後,増加傾向にあった。アマモ場の水温は2010年が顕著に高く,高水温が長期間継続する場合には影響があると推察された。2011年には東日本大震災の津波の影響と考えられるアマモの減少が見られたが翌年には回復した。本海域のアマモ場は,物理的な影響や水温環境を受けて増減するが今後も分布は継続すると考えられ,生物の多様性を維持していくうえで重要である。
著者
尾崎 真澄 梶山 誠
出版者
千葉県水産総合研究センター
雑誌
千葉県水産総合研究センター研究報告 = Bulletin of the Chiba Prefectural Fisheries Research Center (ISSN:18810594)
巻号頁・発行日
no.3, pp.21-28, 2008-03 (Released:2011-02-04)

1)千葉県印旛沼において、1992年から2000年にナマズ人工種苗を放流し、その放流効果について、混獲率や回収率を推定した。2)放流種苗には、焼き入れやタグによる外部標識やアリザリンコンプレクソン(ALC)による内部標識を施し、北印旛沼に12,031尾、西印旛沼に29,449尾、合計41,480尾を放流した。3)放流魚の追跡調査として、漁業者から漁獲物の収集を行い、全長、体重、生殖腺重量を測定するとともに、雌雄判別やALC標識を確認した。4)漁獲物調査により、1993年から2003年に北印旛沼で155尾、西印旛沼で799尾、合計954尾のナマズを収集した。5)これらの漁獲物のうち北印旛沼で95%、西印旛沼で73%が4、5月に漁獲された。6)ナマズ放流魚の成長は、放流後2〜3年で全長500mm以上に達することが推測され、特に夏期における成長量が著しかった。7)ナマズ放流魚の成熟について、GSI値は天然魚と同様に推移し、雌のGSI値は、4月をピークにして8月にかけて降下し、漁獲時期と産卵期は一致した。8)ナマズ放流魚の混獲率は、1993年から2003年の両沼合計で、平均50.2%と高い値を示した。また、これらの混獲率は、放流尾数との間に相関関係が成り立った。9)ナマズ放流魚の回収率は、5%と推定され、混獲率の高さを考慮すると、ナマズ資源に対する漁獲率は低いことが推測された。10)ナマズ種苗放流によって期待された親魚の添加による再生産効果は、明確な漁獲増として確認できなかった。11)印旛沼におけるナマズ資源の増大には、産卵場の収容量など、親魚量以外の条件が本種の資源維持に関わっている可能性がある。