- 著者
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木島 孝夫
高崎 みどり
徳田 春邦
- 出版者
- 千葉科学大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2003
生活習慣病の中で、肥満・糖尿病及びその合併症は、最も深刻な問題であり、ショ糖代替甘味物質の研究はきわめて重要な研究課題である。そこで、天然代替甘味料として広く利用されているステビア葉のジテルペン配糖体steviosideについて、抗発がんプロモーター作用を明らかとし、次いで中国広西壮族自治区の特産植物Momordica grosvenoriの果実・羅漢果に含有されるcucurbitan型のトリテルペン配糖体mogroside Vにも同様の強い抗発がんプロモーター作用が認められることを明らかとした。更に、糖尿病患者血清中に高濃度に出現するAdvanced Glycation Endproducts(AGE)が、顕著な発がんイニシエーターとなることに着目し、これら天然代替甘味料の抗発がんイニシエーション作用を検討することにより、発がん予防作用に関する研究を行なった。その結果、羅漢果に含有される11-oxo-mogroside Vには、AGEにより誘起される発ガンイニシエーション作用に対する顕著な抑制効果があることを明らかとした。また、UVBの照射、窒素酸化物などによる発がんイニシエーション作用に対しても顕著な抑制効果があることを明らかとした。従って、天然代替甘味物質には発がん予防物質として有効なテルペン類が数多く存在することが明らかとなり、機能性を有する代替甘味物質として今後の有効利用が期待される。羅漢果含有の甘味配糖体はショ糖の数百倍の甘味を有することが明らかとされ、中国政府により、羅漢果は同地区のみで栽培が許可され、極めて厳重に保護政策が布かれているが、これらの資源に関して、中国内での栽培状況を明らかとした。これらテルペン誘導体に関連し、既に抗発がんプロモーター作用が顕著であるとされる海洋生物由来のジテルペンsarcophytol類についても、発がん予防作用を詳細に検討し明らかとした。