著者
吉田 康成 西 博史
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学大学紀要
巻号頁・発行日
no.64, pp.311-322, 2017-09-25

"本研究はワールドカップ2015 に出場した一流選手のジャンプサーブを3 次元動作分析することにより、強く打撃する一流選手のジャンプサーブの実態を明らかにすることで今後のコーチング資料を得ることを目的とした。被験者は、Anderson 選手(アメリカ)、Zaytsev 選手(イタリア)、Ishikawa 選手(日本)、Yanagida 選手(日本)であった。得られた知見は以下の通りである。1)本研究で得られた打球速度は、先行研究よりも速く、Anderson 選手が30.91m/s、Zaytsev 選手が35.38m/s、Ishikawa 選手が31.31m/s、Yanagida 選手が31.60m/s であった。2)ジャンプサーブの頭部中心を原点とした打撃の相対位置について、Ishikawa 選手とYanagida選手はスパイクに関する先行研究で報告された打撃位置と大差はなかったが、 Anderson 選手とZaytsev 選手は頭上付近で打撃していた。3 )Ishikawa 選手とYanagida 選手の打撃時における腰部速度は水平方向がそれぞれ0.70m/s と0.92m/s であった。跳躍の仕方は、跳躍前に沈み込み、踏み切り足で助走の水平方向の運動量を鉛直方向へ変換するという従来の指導書で述べられている前衛でスパイクするための助走方法であった。4)Anderson 選手とZaytsev 選手の打撃時の腰部速度は、水平方向がそれぞれ2.05m/s と1.87m/sであった。外国人選手のジャンプサーブは日本人選手と比較して跳躍前に大きく沈み込まず、腰部の水平速度を活かして打撃していた。
著者
姜 美香
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集
巻号頁・発行日
no.11, pp.93-113, 2017-03-20

ベトナムにおける介護分野の技能実習生確保への取り組みに向けてベトナム・ハノイにおける送り出し機関4 か所を対象に現地訪問ヒアリング調査を行った。その結果、日本語教育内容及び日本語レベルについては、最低1 カ月から最大6 カ月までのベトナム人講師による日本語教育を実施しており、教育方法はテキストやDVD を使用していた。技術的な教育は、経済連携協定( EPA )による送り出し機関としての経験を持つ場合には、機関内に実習室を設けていたが、小規模の送り出し機関の場合には日本語教育のみを機関内で実施、技術的な教育は外部機関へ委託していた。学生の9 割以上が今後日本への外国人介護労働者としての受け入れを希望しており、高卒の学生が一番多かった。この学生たちの主な目的は出稼ぎであり、送り出し機関側も今後介護分野における外国人技能実習生の送り出しができることを強く希望していた。しかし、ベトナムにおいてはまだ「介護」の概念が根付いてないため、介護の仕事といっても看病人をイメージする場合が多く、今後介護分野での外国人技能実習生が活躍するためには介護に関する概論などの基礎的知識の修得だけでなく日本の介護現場での実習も必要不可欠であることが明らかになった。
著者
愼 英弘
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集
巻号頁・発行日
no.11, pp.5-21, 2017-03-20

"本稿は、古代から現代までの障害者の歴史の変遷を、「共に生きる」という視点で分析したものである。 前近代(古代・中世・近世)においては、障害者の一部は排除されていたことがあったとしても、それは副次的な状況であり、本質的には障害者と健常者は「共に生きる」状況が一般的であった。 近代(明治以降)に入っておよそ80 年間は、「共に生きる」という状況が崩壊し、競争を中心にした社会になったため、障害者は本質的には排除される状況であった。 現代(第二次世界大戦が終結してから今日まで)においては、競争社会の問題点はまだまだ残っているものの、「共に生きる」社会の構築が国をあげて目標になっている。その「共に生きる」は前近代におけるそれとは異なり、人権尊重に裏打ちされた高次の段階の“共に生きる”社会である。"
著者
谷口 政巳
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学紀要
巻号頁・発行日
no.64, pp.31-56, 2017-09-25

高等学校の古典文法指導において「係り結び」は避けて通れない。しかし、現実には特異な終止法として丸暗記を強要したり、文法は誰かが規則を作って使われているかのような誤解を与えたりしている現状がある。 本稿では、古典文法がいかに楽しく奥深いものかを指導することができる方法の一つとして、また、フランス人がフランス語の美しさを誇りに思い、それを守り育てているように、生徒たちが日本語の素晴らしさに気づき、それを主体的に守り育てていく態度を形成するための方法の一つとして、「係り結び」の起源を明らかにすることをテーマに論述した。 特に、「係り結び」の中でも異論の多い係助詞「こそ」について、『万葉集』の全用例を検討しつつ、「こそ…已然形」の起源が終助詞「こそ」の転移によって起きたものであることを明らかにすることができたものと考える。"
著者
原 順子
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集
巻号頁・発行日
no.11, pp.39-51, 2017-03-20

手話をコミュニケーション手段とする聴覚障害者には、独自の文化としてろう文化( Deaf Culture )があるといわれている。このろう文化を基盤とする文化モデルアプローチは、聴覚障害者を従前の医学モデルや病理モデルといった聴文化からの視点ではなく、ろう文化視点での障害者観により、聞こえないことをポジティブに捉えることができると考える。本稿では、ろう文化が聴覚障害者にとって重要な捉え方であることを、先行研究のレビューにより明確にする。また、文化モデルアプローチで聴覚障害者を捉えることで、ネガティブな捉え方がポジティブに転換できることを示し、文化モデルアプローチの有効性を明らかにする。
著者
愼 英弘
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集
巻号頁・発行日
no.11, pp.5-21, 2017-03-20

"本稿は、古代から現代までの障害者の歴史の変遷を、「共に生きる」という視点で分析したものである。 前近代(古代・中世・近世)においては、障害者の一部は排除されていたことがあったとしても、それは副次的な状況であり、本質的には障害者と健常者は「共に生きる」状況が一般的であった。 近代(明治以降)に入っておよそ80 年間は、「共に生きる」という状況が崩壊し、競争を中心にした社会になったため、障害者は本質的には排除される状況であった。 現代(第二次世界大戦が終結してから今日まで)においては、競争社会の問題点はまだまだ残っているものの、「共に生きる」社会の構築が国をあげて目標になっている。その「共に生きる」は前近代におけるそれとは異なり、人権尊重に裏打ちされた高次の段階の"共に生きる"社会である。"
著者
姜 美香
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集
巻号頁・発行日
no.11, pp.93-113, 2017-03-20

ベトナムにおける介護分野の技能実習生確保への取り組みに向けてベトナム・ハノイにおける送り出し機関4 か所を対象に現地訪問ヒアリング調査を行った。その結果、日本語教育内容及び日本語レベルについては、最低1 カ月から最大6 カ月までのベトナム人講師による日本語教育を実施しており、教育方法はテキストやDVD を使用していた。技術的な教育は、経済連携協定( EPA )による送り出し機関としての経験を持つ場合には、機関内に実習室を設けていたが、小規模の送り出し機関の場合には日本語教育のみを機関内で実施、技術的な教育は外部機関へ委託していた。学生の9 割以上が今後日本への外国人介護労働者としての受け入れを希望しており、高卒の学生が一番多かった。この学生たちの主な目的は出稼ぎであり、送り出し機関側も今後介護分野における外国人技能実習生の送り出しができることを強く希望していた。しかし、ベトナムにおいてはまだ「介護」の概念が根付いてないため、介護の仕事といっても看病人をイメージする場合が多く、今後介護分野での外国人技能実習生が活躍するためには介護に関する概論などの基礎的知識の修得だけでなく日本の介護現場での実習も必要不可欠であることが明らかになった。
著者
横山 順一
出版者
四天王寺大学大学
雑誌
四天王寺大学大学院研究論集
巻号頁・発行日
no.13, pp.25-39, 2019-03-20

この研究は、住民参加型福祉サービスのマンパワーに関する課題に焦点をあて、地域外の社会資源の活用の可能性を論じている。現在、介護保険法改正で制度上地域支援事業の中に住民参加型福祉サービスが位置付けられているが、その担い手は高齢化と減少化という問題を抱えている。これらの原因を生み出す原因として、地域の連帯意識が希薄化した結果、次世代の育成が進んでいないことが考えられる。また、低い報酬と充実感が活動参加の動機づけにならなくなり、人材確保が困難になったことも一因である。 これらの問題を解決するための提案として、大学における課題解決型学習と地域貢献による地域外の担い手の活用に注目した。大学が関わることで、大学生が地域課題と直面できること、地域課題の解決に対して専門知識をもつ担い手になることができる可能性について指摘した。