著者
小宮 富子 岡戸 浩子 河原 俊昭 石川 有香 榎木薗 鉄也 吉川 寛
出版者
大学英語教育学会中部支部
雑誌
JACET中部支部紀要 (ISSN:18815375)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.77-100, 2021 (Released:2022-03-30)
参考文献数
17

English education in “Society 5.0” requires not only teaching language, but also fostering students who, as their own problems, seriously face complex social challenges of the new era. This paper proposes practical methods of English education to raise students’ awareness of Diversity & Inclusion and SDGs. We did a questionnaire survey on “English and society” among university students at five universities and a junior college, and saw that there was a relation between students’ attitude toward Diversity & Inclusion and their willingness to learn English. This paper also discusses, as examples of complex and changing situations of English, positive and negative roles of English in multi-lingual India and spread of automatic English translation in English classes in Japan. We conclude we need “inclusive college English education” in classes.
著者
Tsuda Sanae
出版者
大学英語教育学会中部支部
雑誌
JACET中部支部紀要 (ISSN:18815375)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-15, 2006

本研究の目的は「聞き直し(clarifications)」が英語コミュニケーションにおいて果たす対人関係機能を明らかにすることである。分析データとして、英語母語話者と日本語母語話者間の会話(Group1, Group2)、日本語母語話者と中国語母語話者間の会話(Group3)を用い、会話データに見られる聞き直しの種類と機能を量的・質的に分析する。分析に先立ち聞き直しを定義する。次にデータ中の聞き直しを誰がするかにより 1)clarification question/request(CR)とfollow-up question(FQ)に、何を聞き返すかにより 2)hearing check(HC)とunderstanding check(UC)に分類する。3つの会話を1)の分類により量的に分析すると、3つの会話すべてでCRの方がFQより多く、2)の分類によるとGroup1、Group2ではUCが、Group2ではHCが多いことがわかる。次にこの量的分析の結果とフォローアップインタビューでGroup1、Group3では参加者が相手に対し何も違和感を持たなかったと答えたのに対し、G2では英語母語話者が日本語母語話者に対して否定的な感想を述べた点とに焦点をあてて質的分析を行う。分析の結果、この差は聞き直しに対する許容的な態度と聞き直しを会話維持のために用いる意識の差によることが指摘される。これらの結果により聞き直しは情報を正確に把握するためだけではなく、会話を円滑に運び対人関係を円滑にする働きをすると指摘される。聞き直しが会話維持機能を持つという分析結果は、聞き直しが英語によるコミュニケーションの対人関係維持や異文化コミュニケーションにおいても、重要な意味を持つことを示唆している。