著者
小宮 富子 岡戸 浩子 河原 俊昭 石川 有香 榎木薗 鉄也 吉川 寛
出版者
大学英語教育学会中部支部
雑誌
JACET中部支部紀要 (ISSN:18815375)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.77-100, 2021 (Released:2022-03-30)
参考文献数
17

English education in “Society 5.0” requires not only teaching language, but also fostering students who, as their own problems, seriously face complex social challenges of the new era. This paper proposes practical methods of English education to raise students’ awareness of Diversity & Inclusion and SDGs. We did a questionnaire survey on “English and society” among university students at five universities and a junior college, and saw that there was a relation between students’ attitude toward Diversity & Inclusion and their willingness to learn English. This paper also discusses, as examples of complex and changing situations of English, positive and negative roles of English in multi-lingual India and spread of automatic English translation in English classes in Japan. We conclude we need “inclusive college English education” in classes.
著者
田中 慎也 岡戸 浩子 河原 俊昭 中尾 正史 長谷川 瑞穂 藤田 剛正 松原 好次 三好 重仁
出版者
一般社団法人大学英語教育学会
雑誌
JACET全国大会要綱
巻号頁・発行日
vol.39, pp.50-51, 2000-11-01

21世紀を迎えるに当たり、日本社会も国際化が進み、多言語社会へと徐々に進みつつあるように思われる。このような時代の中で、さまざまな言語問題が顕在化している。それにつれて、国際化時代の言語教育のあり方や、多言語社会における言語のあり方に関して、さまざまな議論が行われるようになった。具体的には、小学校から英語を導入すべきかどうか、英語教育の中心をコミュニケーション重視の授業にすべきかどうか、大学教育で第2外国語は必要かどうか、新しい移民(ニューカマー)への日本語教育・母語保持教育はどうあるべきか、などである。また、最近では、「21世紀日本の構想」懇談会による「英語の第2公用語化」の提唱がマスコミをにぎわしている。これらの国際化と多言語社会化から生じてきた問題は、日本にとっては、比較的近年になって顕著になった問題であるが、世界の各地では、すでにこの問題に取り組んできている国が多い。日本社会が、言語問題の解決の手がかりを得ようとするときは、世界各地における言語の実態と言語政策を探ることで、有益なヒントを得られると思われる。例えば、アメリカにおける先住民族、その母語保持の活動は、日本における先住民族の母語維持活動にもヒントを与えるに違いない。また、カナダのimmersion planは、日本でも多大な関心をよび、その研究者も多い。EU諸国は、世界語として強力な英語と自国の言語を、ほどよくバランスさせようと苦慮している。また、EUには、中欧・東欧からの移民をはじめとして、移民が増加しているが、彼らの言語がどのように取り扱われているか興味深い。アジアには、多言語国家が多いが、フィリピンでは、英語とフィリピノ語(タガログ語)の2言語政策が推進されており、シンガポールでは、英語公用語政策、Speak Mandarin運動などがあり、それぞれ注目されている。オセアニアでは、移民と先住民族の言語を、優勢な英語と、どのように共存させてゆくか、さまざまな試みがなされている。また、多言語国家がほとんどを占めるアフリカにおいても、さまざまな言語政策がおこなわれているが、従来の日本では、ほとんど関心をよぶことはなかった。しかし、アフリカでは、多民族国家の求心力を保つために、各言語に配慮した言語政策が欠かせないと認識されており、さまざまな工夫がなされていて、我々にとって参考になる点も多い。日本では、時代の要請に応えた言語対策が打ち出される必要性があるが、これら、世界の各国で行われている言語政策はおおいに参考になるだろう。
著者
岡戸 浩子
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、この国で推進されている言語政策および言語教育政策と大きな関わりを持つ学校教育における「第二言語教育」について社会言語学(狭義での言語社会学)的視点から現状を考察し、政策の推進における問題点および阻害要因を明らかにすることを目的とした。そのために、平成15年度〜18年度に渡ってニュージーランドを訪れ様々な調査を行った。第一に、「第二言語教育」の実態と学習者の意識に関して明らかにするために、中等学校の第二言語学習者に対してアンケート調査を行い、得られたデータを基にしてSPSS, Amosによる因子分析やパス解析等の種々の統計的手法を用いた分析を行った。第二に、上記の量的調査に加えて、質的にも確認するために、言語教師に対しては第二言語教育の現状と最近の傾向について、そして言語学習者に対しては言語学習に関するインタビュー調査を行った。第三に、カンタベリー大学、マッセー大学、ワイカト大学、オークランド大学、オークランド工科大学の研究者およびニュージーランド教育省の担当者に対してインタビュー調査を行った。その際、今回の研究にとって貴重な資料・情報を入手することができた。上記の調査結果から、(1)カリキュラム、(2)第二言語の必修化、(3)教員不足、(4)学習者の「言語」教育に対する意識、に関する問題点および課題が明らかになった。これらの課題に取り組むためには、行政によるさらなる積極的な言語教育政策の施行と、ひいては総合的な言語政策が国から打ち出されることが必要であると言える。研究期間中には、中間報告的な内容も含め、いくつかの雑誌論文や図書(著作)のかたちで研究の成果を発表した。