著者
小島 満
出版者
富山大学経済学部, 富山大学経営短期大学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.480-499, 1978-03

本稿で取り上げる多属性態度モデルは,主に社会心理学で構築された態度理論に依拠しながら,消費者行動に特有な情況を反映すると共に,消費者の選好を伝統的方法とは異なり,そこに顕在化する認知構造から直接説明し,予測しようとするため,叙上の対照的な接近方法を総合化する契機を内包するといえよう。しかし,このモデルが夥しい数の実証的研究を誘発させるにしたがって,それら研究のあいだに用語法,測定法,分析方法などの多様化をもたらしているため,このモデルは現状で、は未だ十分な説明力をもつに到っていないと考えられる。本稿の課題は多属性態度モデルとして総称される幾つかの主要なモデルを取り上げ,そこに伏在する問題点を行動諸科学の成果から再検討して,モデルと購買状況との対応に関する仮説を提示することにある。