著者
桂木 健次
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.141-154, 2016-07

国債の償還は,「未来世代のGDP(付加価値)」によってされているというのではなく,経済実体が消費を通して将来に向けて最終的な付加価値であるGDPを生み出すための中間消費とみなされる金融(通貨価値)の「シャドー・プライス」を意味する通貨発行益から償還させられていく。一般予算からの税収や借金(国債)を財源として歳出されている「国債費」は,定率繰入として主に償還される債券に裏書されている「付利」の支払い並びにその償還の会計運用積立に充てるためである。つまり,将来世代なる近未来が税金から負担するのは,「利払」分並びに特別会計運用経費である。
著者
神山 智美
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.83-106, 2017-12

身近な公職選挙の一つに地方議会議員選挙がある。2016年(昨年),筆者の居住する富山市では,不祥事(政務活動費不正利用)のため多くの地方議会議員が辞職し,その補欠選挙もなされた。補欠選挙では,多くの候補者が斬新さと自身が掲げる政策案の実現をアピールして,世間の関心も高まった経緯がある。関西ではローカル・パーティー「大阪維新の会」が,東京都議会議員選挙でも,「都民ファーストの会」が大躍進を遂げており,地方政治における政策型選挙も定着してきた。一方,「市議会議員になる方法」等というタイトルのマニュアル本も多数刊行されている。しかし,転職先として人気のある地方議会議員は,その報酬から見ても都市部であり,中山間地域等に存する小規模な町村においては,高齢化および人口減少化のなかで定員を満たす立候補者を確保することが難しくなっている実態もある。こうした現況から,地方議会の実態と地方議会議員選挙の法的性質を踏まえ,地方議会議員とりわけ市町村議会議員に係る地方自治法(自治法,昭和22(1947)年法律67号)上および公職選挙法(公選法,昭和25(1950)年法律100号)上のいくつかの論点について検討するのが,本小稿の目的である。
著者
神山 智美
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.183-208, 2015-12

原告Xは,愛知県田原市内α町(以下「本件地区」という。)において,被告Y(東京に本社を置く風力発電事業等を目的とする会社)が設置,運転する風力発電施設(以下「本件風力発電施設」という。)から350メートル離れたところに居住する住民である。本件は,Xが,同施設の風車(以下「本件風車」という。)から発生する騒音により受忍限度を超える精神的苦痛ないし生活妨害を被っているとして,Yに対し,人格権に基づき,同施設の運転差止めを求めるとともに,不法行為に基づき,上記精神的苦痛に対する慰謝料500万円の損害賠償等の支払いを求めた事案である。
著者
高山 龍太郎
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.603-652, 2007-03

富山県の地域性は、しばしば東西に分けて語られる。県中央部にある呉羽丘陵を境に、県東部を「呉東」(ごとう)、県西部を「呉西」(ごせい)とする呼び方は、そうした人びとの認識の一例である。たとえば、富山県を全国の人びとに紹介するある本は、富山県の市町村を呉東と呉西に分けて紹介している(須山 1997)。また、国民的作家と呼ばれた司馬遼太郎も、『週刊朝日』の連載「街道をゆく」のなかで、呉東と呉西という言葉にふれ、「人文的な分水嶺を県内にもつというのは、他の府県にはない」(司馬 1978:116)と紹介している。今回の私たちの調査でも、回答者の95%の人が、富山県を呉東と呉西という呼び名で二分されることを知っており、75%の人が、呉東と呉西の間に全般的な違いがあると考えていた。このように、富山県を東西に分けて把握する認識は、かなり一般的である。しかし、こうした認識枠組みがある一方で、現実の富山県の東西の違いはなくなりつつある。自動車を中心とする交通手段の発展は、富山県をますます一体化させている。本稿の目的は、こうした問題意識にもとづき、富山市と高岡市でのサーベイ調査から、富山県の東西の違いが、実際にどのくらい存在するのかを、実体と人びとの意識の両面から具体的に明らかにすることである。調査の概要は、以下の通りである。富山県の東西をそれぞれ代表する都市として、富山市(東)と高岡市(西)を調査対象に選んだ、調査は、2005年12月から2006年1月にかけて、自記式郵送法による標本調査でおこなっている。実査の対象者は、富山市と高岡市から、500めいずつ合計1000名を選んだ。実査対象者の標本抽出には、選挙人名簿を台帳として二段階抽出法によっておこなった。回答者は446名(富山市213名、高岡市233名)で、回収率は全体で44.6%(富山市42.6%、高岡市46.6%)であった、
著者
小倉 利丸
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.325-353, 1982-02

本稿ではマルクス主義ないしマルクス経済学と,全く異る理論的基礎をもつそれ以外の経済学諸潮流との聞の批判的相互交通を扱うことになる。これらの検討をつうじて,マルクス価値論の理論的有効性を確認しうる視座を確定しつつ,経済学批判としての批判の方法一異る理論への批判の有効性を保障するものは何か,批判による自らの理論の擁護か,批判の理論化か,ーを検討する素材を提供してみようとするものである。
著者
竹地 潔
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.1-19, 2017-07

ビッグデータの利活用の進展に伴って,プロファイリングの精度が飛躍的に向上し,対象者の人物像をよりいっそう詳細に描くことが可能になった。このことにより,プロファイリングは,行動ターゲティング広告や不正検知のための手法として利用されるばかりではなく,人事労務管理の分野にもその利活用が広がりつつある。人事労務管理の分野においてプロファイリングを用いると,上司による「主観的」な評価に左右されることなく,「科学的」な分析を通じて労働者の「客観的」な評価を行うことができる,と喧伝されているが,プロファイリング自体に内在する諸問題,つまり,「不可視性」,「脱個人化」,「不確実性」および「脱文脈化」のせいで,求職者や労働者にとって,プロファイリングはプライバシーへの侵害や差別などの重大な脅威になりうる,と懸念されている。海外では,プロファイリングの問題性をいち早く認識して,個人情報やプライバシーの保護などの観点から,それに対する法的対応を検討し,実際に法的規制を加える取り組みも見られる。他方,わが国は,プロファイリングの利活用が進んでいるにもかかわらず,海外の状況に比べてほとんど手つかずの状態で,その法的対応の検討すらほとんどなされてはいない。本論は,まず,プロファイリングの現状および人事労務管理の分野におけるその利活用を概観して,プロファイリングの利活用が労働者にいかなる脅威を及ぼしうるかを指摘する。次に,懸念される労働者への脅威に対して,わが国の現行法が十分な対応を行えるのかどうかを検討する。さらに,海外(米国および欧州連合)における法的取り組みを踏まえたうえで,わが国における今後の課題を論じることにする。
著者
小島 満
出版者
富山大学経済学部, 富山大学経営短期大学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.480-499, 1978-03

本稿で取り上げる多属性態度モデルは,主に社会心理学で構築された態度理論に依拠しながら,消費者行動に特有な情況を反映すると共に,消費者の選好を伝統的方法とは異なり,そこに顕在化する認知構造から直接説明し,予測しようとするため,叙上の対照的な接近方法を総合化する契機を内包するといえよう。しかし,このモデルが夥しい数の実証的研究を誘発させるにしたがって,それら研究のあいだに用語法,測定法,分析方法などの多様化をもたらしているため,このモデルは現状で、は未だ十分な説明力をもつに到っていないと考えられる。本稿の課題は多属性態度モデルとして総称される幾つかの主要なモデルを取り上げ,そこに伏在する問題点を行動諸科学の成果から再検討して,モデルと購買状況との対応に関する仮説を提示することにある。
著者
森岡 裕
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.583-591, 2017-03

ロシアはエネルギー資源(石炭,石油,天然ガス)の有力な保有国であり輸出国であることは周知のとおりである。石油と天然ガスについては生産拠点が西部(チュメニ)にあることから,輸送インフラ(パイプライン)の整備も西部(ロシアのヨーロッパ地域,西シベリア)を中心に行われてきた。その結果,石油とガスの輸出先は伝統的にヨーロッパ市場が中心となっており,東部(アジア・太平洋地域)の役割は大きくなかった。だが輸出先の多様化と成長するアジア・太平洋地域への結合を実現するため,東方市場の開拓・強化が図られるようになった。「2030年までのロシアのエネルギー戦略」では,ロシアの石油とガスの輸出に占める東方市場(アジア・太平洋地域)の割合を以下のような水準に引き上げることが目標として示されている。石油・石油製品の輸出:8%(2008年実績)から22 ~ 25%(2030年)へガスの輸出:0%(2008年実績)から19 ~ 20%(2030年)へ実際,東方市場への輸出強化策は実行されており,2010年の実績値では,ロシアの石油・石油製品とガス輸出に占める東方市場の割合は,それぞれ12%と6%となっている。この傾向はこれからも続くものと予測される。なお東方シフトを検討する場合,2つの大きな要因をとらえておく必要がある。1つは,サハリンの石油・ガスプロジェクトの本格的稼働開始(2006年)であり,もう1つは,東部での石油輸送インフラの整備となった「東シベリア・太平洋パイプライン(ESPO)」の稼働開始(2009年:Ⅰ期工事完了 2012年:Ⅱ期工事完了)である。この2つの大きなプロジェクトの稼働によって,ロシアの石油とガスがアジア・太平洋地域へ供給されることとなった。そこで本稿では,サハリン・プロジェクトの本格的稼働前後(2005年,2007年)とESPOの稼働後(2013年)の時期を中心に,ロシアの石油・ガスの輸出先の多様化・東方シフトを検討していく。また生産拠点が東部(シベリア,極東)にある石炭の輸出先についてもみていく。そこでⅡ節では,ロシアのエネルギー資源(石炭,石油,天然ガス)の生産状況を確認する。それを踏まえて,Ⅲ節ではロシアのエネルギー資源の輸出先の変化と今後の動向について検討する。
著者
木下 裕介 増田 拓真 中村 秀規 青木 一益
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.127-152, 2018-07

近年,持続可能な社会や都市への移行に向けて,日本の地方自治体(以下,自治体)においては,社会・経済の低炭素化や加速化する少子化・高齢化を含む,各種課題への対応が求められている。これは中長期にわたる包括・包摂的視座の下,既存施策・政策の再編を必須とする構造的変革(structural transformation) の可否を問うものであり,自治体にとっては,地域やコミュニティにおける集合的意思決定を如何にして行い課題解決をはかるのかという,ガバナンスにかかわる問題も含んでいる(Bulkeley et al. 2011; Hodson and Marvin 2010)。これらの点に関連する直近の政策動向としては,SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成をはかるため,2017年12月に国が打ち出した「地方公共団体における持続可能な開発目標(SDGs) の達成に向けた取組の推進」を挙げることができる。この施策は,「まち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版」(2017(平成29)年12 月22 日・閣議決定)および「SDGsアクションプラン2018」(2017(平成29)年12月26日・持続可能な開発目標(SDGs) 推進本部決定)における,「『日本のSDGsモデル』の方向性」において取り決められたものである。このことは,SDGsの達成が,日本の都市・まちづくりを通じた地域・コミュニティの再興(すなわち,地方創生)に資するとの命題が,政府の政策体系に位置づけられたことを意味する。また,ここでの命題を具体化する事業として,国(内閣府地方創生推進事務局)は,2018年2月,自治体によるSDGsの達成に向けた取り組みを公募し,優れた取り組みを提案した最大30程度の都市を「SGDs未来都市」として選定の上,SDGs推進関係省庁タスクフォースによる支援提供を行うとした。上記政策展開において特筆すべきは,SDGsの達成に向けて,自治体が取り組むべき課題・対応策等をめぐり当事者・ステークホルダーが意思決定を行う際の手法として,「バックキャスティング(backcasting)」が明示的に採用された点である。将来シナリオの策定におけるバックキャスティングとは,予測を表すフォアキャスティング(forecasting) と対をなす用語として理解され,通常,あるべき将来を始点としてそこから現在を振り返る方法と定義される(Robinson 1990)。また,一般にバックキャスティングシナリオは,比較的遠い未来(例えば,2050年)のあるべき姿(ビジョン)を設定した後,その達成のために何をすればよいか(パス)を未来から現在まで時間的逆方向に考えるというプロセスで生成するものを指す(Kishita et al. 2016)。バックキャスティングを用いた将来シナリオの作成は,社会・経済を規定する制度・構造にまで踏み込んだ,イノベーションを伴う抜本的変革が求められる課題遂行において有効とされる。サステナビリティ・サイエンス(Sustainability Science)の分野では,2000年代以降,気候変動,エネルギー,SDGsといった政策課題への対応において,バックキャスティングを用いた将来シナリオがさかんに作成されるようになってきた(Kishita et al. 2016)。持続可能な社会への移行を企図したシナリオ作成に孕む困難な問題として,各自治体が目指すべき都市や地域に関する理想の将来像(ビジョン)が必ずしもステークホルダー間で共有されていない点が挙げられる。この問題の解決に向けたより民主的な政策立案の手法として,サステナビリティ・サイエンスの分野では参加型アプローチ(participatory approach) が注目を集めている(Lang et al. 2012; Kasemir et al. 2003)。その具体的な事例は欧州でさかんに見られるが,日本でもここ最近は行政や専門家が参画した市民ワークショップの開催という形態を中心として,さかんに実践されている(Kishita et al.2016; McLellan et al. 2016; 木下・渡辺 2015)。しかしながら,自治体や都市・地域の将来ビジョンを作成するための理論や方法論は,いまだ確立されていないのが現状である。また,ビジョン作成をどのように政策立案プロセスあるいは合意形成プロセスに反映させるべきかといったガバナンス問題に関する調査研究も,依然として萌芽段階である。そこで,本稿では,上記の研究課題の解決に向けたアプローチのひとつとして,市民ワークショップ(以下,WS)を用いたバックキャスティングシナリオ作成手法を提案する。本稿で提案する手法では,ロジックツリーと呼ばれるツールを用いて市民WSでの議論を因果関係に沿って構造化した上で,ビジョンに関する重要なキーワード(キーファクター)の抽出に基づいて複数のビジョンを作成する。さらに,シナリオの作成過程でWS参加者が議論した内容の論理構造を分析するため,持続可能社会シミュレータ(以下,3S シミュレータ)という計算機システムを用いる(Umeda et al. 2009)。このシステムは,持続可能社会シナリオの理解・作成・分析を統合的に支援することを目的として筆者らが開発してきたシステムであり,ビジョンとパスから構成されるシナリオの論理構造を可視化することができる(Umeda et al. 2009)。本研究では,以上の手法を,2064年の富山市における持続可能社会のシナリオを描くことを目的とした市民参加型WSに適用した。そこでは,年齢・性別・職業が多様になるように,10~70代の男女,合計16名を集めたWSを,全3回にわたって富山市で開催した。WSでは,参加市民を同様の人員構成となるよう2つのグループ(各8名)に分け,中立的ファシリテーションの下で対話・討議し,そこで示された様々なアイディアを記した文章と録音による発話データに基づいて,バックキャスティングシナリオを作成した。本稿の主たる目的は,市民WSを用いて得られた2本のシナリオのコンテンツおよびシナリオ作成のプロセスを通して,ビジョンの実現のために満足すべき目標と,とりうる政策オプションやその他の手段との関係性を分析することにある。さらに,本稿では,筆者らが提案したシナリオ作成プロセスが,ステークホルダー間の合意形成や自治体における政策立案に対してどのように資するのかという,ガバナンス問題についても考察を行う。
著者
高田 寛
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.551-581, 2017-03

世界の人口は,2050年には90億人を超えると予想されている。人類が今まで経験したことのない急激な人口の増加とともに,地球温暖化による異常気象が世界各地で頻繁に起きている。また,毎年約6万平方キロメートルの規模で地球の砂漠化が進み,土壌劣化現象が起きている。このため,2050年には,世界の総人口を養うためには,食料の生産を2000年に比べ1.5倍以上に引き上げる必要があると予想されている。このような将来の食料危機を打開するものとして,遺伝子組換え技術が注目を集めている。遺伝子組換え技術とは,植物に限らず,あらゆる生物の遺伝子を人為的に改変する技術であり,21世紀に入り急速に技術革新が行われた。特に,近時,予め狙った遺伝子を直接改変するゲノム編集技術が開発され,不確定要素が多く効率が悪かった従来の遺伝子組換え技術にも導入され,人類は,これら遺伝子改変技術により,植物だけでなく動物をも含む食料の増産及び安定供給を可能とする時代を迎えようとしている。しかし一方で,遺伝子組換え技術を使った作物(Genetically Modified Organisms/GMO)(遺伝子組換え食品も含む。以下「GMO」という。)が人体へ影響を及ぼす可能性があるのではないかという報告もなされ,GMOの安全性及び生物多様性についての懸念が表明されている。また,これらの報告を受け,消費者団体及び市民団体を中心にGMOの反対運動も行われている。各国のGMOに対する法規制は様々であり,特にフランスがGMOの栽培を禁止したように,EUでは規制を強化する傾向にある。しかし他方,米国はモンサント社をはじめとする種子ビジネスの巨大企業が,GMOを中心としたビジネスを世界各国で展開している。このような中,わが国の食料自給率は40%以下と先進国の中では最も低く,多くの農作物を海外から輸入している。特に,米国産の遺伝子組換えトウモロコシや大豆を大量に輸入・消費しているため,わが国にとってもGMOの安全性に関して無関係ではない。GMOの賛否については,ややもすると感情論に走りがちな議論も散見されるが,本稿では,GMOが抱える法的問題,特に食物に対するGMOの表示制度を整理し,トレーサビリティの必要性の有無について,EU及び米国の法制度も踏まえながら,わが国の採るべき法規制の検討を行いたい。