著者
金山 愛子
出版者
敬和学園大学
雑誌
敬和学園大学研究紀要 (ISSN:09178511)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.253-266, 2004-02
著者
藤野 豊
出版者
敬和学園大学
雑誌
人文社会科学研究所年報
巻号頁・発行日
no.13, pp.21-40, 2015
著者
前嶋 和弘
出版者
敬和学園大学
雑誌
人文社会科学研究所年報
巻号頁・発行日
no.6, pp.125-134, 2008

米大統領選テレビ討論会が有権者に与える影響を論ずるのが本稿の目的である。各候補者らが自らの主張をぶつけ合う米大統領選テレビ討論会は、政治参加を促す重要な機会として知られている。これは、候補者の政治家としての能力や政策を対立候補と比較しながら知ることができるためである。さらに、政治教育的な効果もあり、特に政治的に対する知識が十分でない層に対しては、政治に対する理解を深める効果も実証的に検証されている。また、討論形式にも工夫があり、2008年選挙では司会者だけではなく、インターネットサイトから一般の有権者が候補者に質問することができる「CNN・ユーチューブ大統領選討論会」も導入され、大きな話題となった。しかし、大統領選テレビ討論会が有権者の実際の投票行動に与える影響についっては、次の4点において、大きく疑問視されている。第1点目は、討論の準備や内容に起因する。予備選はともかく総選挙の場合、特に候補者は何度も事前にリハーサルしていることもあり、自分の得意な政策を知り尽くしており、自分の失点になるような争点については、討論会では直接的な対立を避けようとする傾向にある。そのため、候補者の政治家としての実際の能力を討論会のやり取りで見極めることは、有権者にとって難しい。第2点目は、討論会内で各候補者に与えられている個々の質問に対する回答時間が非常に限られている点である。わずか数分間で、政策についての深い論議まで論ずることは至難の業である。第3点目は討論会の参加資格である。これまでの大統領選討論会では、1996年選挙では有力だったロス・ペローでさえも、一部の討論会にしか参加を認められなかった。このように、共和・民主両党以外の第三政党の候補者が討論会から排除されるなど、民主主義的な観点からの疑問も提示されている。第4点目は、討論会直後にメディアが行う世論調査の結果に視聴者が影響されてしまう点である。視聴者は実際の討論の内容ではなく、メディアが伝える「勝ち負け」の世論調査のデータをみて、候補者を判断する傾向にある。このように、大統領選テレビ討論会については、討論会視聴者の政治参加を促す重要な機会ではあるものの、有権者の投票行動に対する実際的な効果は比較的限定されており、討論会の重要度が一人歩きしている感がある。
著者
Goldstein Sanford
出版者
敬和学園大学
雑誌
敬和学園大学研究紀要 (ISSN:09178511)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.283-297, 2004-02
著者
前嶋 和弘
出版者
敬和学園大学
雑誌
敬和学園大学研究紀要 (ISSN:09178511)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.81-107, 2008-02

アジア系アメリカ人の政治参加と代議制の現状を分析するのが本稿の目的である。1965年移民法改正をきっかけにして、アジア系アメリカ人の人口は急速に増加しつつある。アジア系アメリカ人は、他の人種マイノリティ集団と比べ、比較的裕福であり、教育レベルも高いため、「経済的状況、あるいは教育レベルと投票率との問には高い正の相関関係がある」とするこれまでの様々な研究に従うと、アジア系の投票率は他の人種マイノリティ集団に比べて、高いはずである。しかし、実際はアジア系の投票率は比較的低い状況にある。これには様々な理由がある。例えば、アジア系には移民が多く含まれており、言葉の問題もあるほか、アメリカの政治制度に対する知識が十分とは言えず、投票についての政治的有効性を見出せない状況にある。アジア系の中のエスニシティ間の差も大きく、特に難民として入国したカンボジア系の場合などにこの傾向は強い。また、一般的に権威に比較的従順であるというアジア系の性格も関係しているという見方もある。アジア系の場合、十分に民主的とはいえないような出身国からの移民も多く、政治参加そのものに対する知識が十分とは言えない。さらに、アジア系は勤勉であるといわれており、平日を投票日としているアメリカでは、仕事を休んでまで投票をしないケースも少なくない。一方で、90年代後半からアジア系の投票促進(get-to-the-vote)運動も盛んになっている。これは連邦議会や一部の州レベルで主にアジア系を対象とする二力国語教育政策への反発や、アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)の制限などが目立ってきたため、これに危機感を感じてアジア系が団結し始めていることに関連している。アジア系の団結はアジア系の代議制にも影響している。アジア系の議員については、アジア系の人口が集中しているカリフォルニアやハワイ両州などの地域にこれまで限られてきたが、アジア系アメリカ人が多いとはいえない州についても変化が生まれている。特筆できるのが1996年にワシントン州の知事に当選したゲーリー・ロックの選挙戦である。この選挙ではアジア系アメリカ人が団結して1人の候補を応援した。また、この選挙では、アジア系以外のリベラル層にも幅広い支援を取り付けて成功したこともあり、今後のアジア系のや他のマイノリティ集団の選挙活動のモデルになるとみられている。