著者
岩月 啓氏
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.317-325, 2015 (Released:2015-10-21)
参考文献数
15

EBウイルス関連T/NKリンパ球増殖症(LPD)は,慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV),古典的および全身性種痘様水疱症(cHVとsHV)と蚊刺過敏症(HMB)を含む一群の疾患である.cHVは,露光部のヘルペス型水疱丘疹を特徴とする小児の光線過敏症で,血中にEBウイルス感染γδT細胞が増数している.HMBは,虫刺されやワクチン注射に続いて,激しい皮膚反応と発熱や肝障害などの全身症状を特徴とする.HMB患者は通常,EBウイルス感染NKリンパ球増殖症を示す.cHV群は,良好な経過をとるが,他の2群,すなわちsHVとHMBの予後は不良で,50%死亡はそれぞれ発症後10年,5年である.単因子解析結果では,予後不良因子として,発症が9歳以上であること,超早期再活性化マーカーBZLF1 mRNAの発現が皮膚で検出されること,の二つが見出された.CAEBVの診断基準案におけるHV,HMBの位置づけについて言及した.