著者
佐藤 吉信
出版者
東京商船大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

自動車事故の抑制には、運転者のエラーをバックアップする危険回避系を備えた先進安全車の実現が必須である。本研究では、この危険回避系のフエール・セーフ/フエール・オペラブル構成問題と安全性評価について検討し、以下の研究成果を得た。1.自動車が対象物と衝突をするハザードに対して加速インタロッキング、非常停止および操舵制御バックアップを行う危険回避系のフエール・セーフ・フエール・オペラブル・システム構成の可否について検討した。2.ドライバーの居眠りやよそ見などのヒューマンエラーによる追突事故を防止するためにトラックやバスで実用化され始めている車間距離警報装置の事故抑制効果を評価するためにフォート・ツリー解析を実施した。これより追突事故が1/3から1/4に削減できると結論された。また、同様の解析により、警報出力を自動車の停止装置に連結していわゆる非常停止危険回避系を構成した場合、追突事故が1/5から1/8に低減されると評価された。3.大手のトラック運送業者では、交通災害保険をいわゆる自己保険としているため、自己の減少が利潤に直結している。このため車間距離警報装置の利用に積極性がみられる。しかし、個人ユーザでの導入をはかるためには、さらに装置製造コストの低廉化および保険料のディスカウントなどの措置が必要である。4.コンピュータを用いたプログラマブル危険回避系では、技術革新が激しいため故障率など信頼性データが入手できない場合が多々ある。そこで、そのような危険回避系のフェール・セーフ・フェール・オペラブル・システム構成に従って、コンポーネントに近似的な統計量を与えて危険回避系の自己抑制力を評価するA-Cモデル構造関数法を開発し、先進安全車等へ適用を試みた。
著者
小林 高英
出版者
東京商船大学
巻号頁・発行日
2003

東京商船大学修士学位論文 平成15年度(2003) 流通情報工学専攻
著者
飯島 幸人 浜田 悦之 鈴木 裕 荒井 郁男 鈴木 務 林 尚吾 大津 皓平
出版者
東京商船大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

船舶の知能化に関連する分野は極めて広く, ただ単に船舶自身が知能を持つだけでは安全なる運航はできず, 陸上からの支援や, 海図データ, 海気象データなど数多くのデータの収集と伝送などが必要となる. 本研究ではまず船舶自身の知能化に関する基本的問題を研究し, 大よその指針を得ることができた. 本研究は1988年オーストラリアで開催されて国際航法学会で発表され, 世界中から注目されるところとなった. また航海, 特に知能化無人航行に必要であるディジタル海図, いわゆる電子海図については, 海岸線や等深線までの距離計算の高速処理のためには海図データのフォーマットを緯度経度表示ではなくラジアン表示の方が良い. また, レーダ映像との比較には大圏図法で行うべきだが高速処理には特に高精度を必要としないなら漸長緯度図法の方が良い. 高度知能化船では, 海象気象情報は正確で高精度であることが要求されるが, 海洋観測衛星(MOS-1)の現状の性能では不充分である. MSRアンテナパターンと偏波回転によるひずみ補正の基礎的研究を行った. その結果偏波回転の影響を補正した上で逆フィルタをかければ, 沿岸部や島などにおいてメインローブのみの画像を上回る分解能が得られ, しかも海域の輝度温度もメインローブのみの画像に近いものとなった. これらを総合した実験は, 実験規模の制約から一部の実験にとどめたが初期の目的は達成できた. 今後, 海運界と造船界では現状の改革の面から知能化少人数船の建造要求は強くなり, 研究が盛んになると思われるが, その際本研究がその基礎をなすものとして大いに参照されることと思われる. しかし研究は完成したものではないので, かえって残された問題や今後鋭意研究しなければならない事項が数多く浮上してきているので, さらに一層の研究を続けていく予定でいる.