著者
瓜巣 由紀子
出版者
浦和大学・浦和大学短期大学部
雑誌
浦和論叢 (ISSN:0915132X)
巻号頁・発行日
no.53, pp.21-48, 2015-08

わが国では、社会的養護を必要とする児童が増加している。しかしながら、社会的養護の施設の区分には、障害児でありかつ被虐待児である児童が利用する施設である障害児入所施設が含まれていない。障害児でありかつ被虐待児の児童については、児童福祉法に規定される同じ「児童」でありながら、施策の適用の違い、児童福祉施策の対象あるいは障害児施策の対象となるのかにより、施設への入所制度に矛盾があるのが現状である。 そこで本論文では、児童福祉施策と障害児施策の視点から社会的養護の現状と課題について考察した。その考察からわが国の社会的養護は被虐待児をその主たる対象とし、障害児であり被虐待児についての視点は乏しいものであるという知見を得た。この社会的養護の課題解決のため、わが国の「すべての児童」を対象とした政策立案を形成するシステムの構築について提言した。
著者
岩本 裕子 イワモト ヒロコ Hiroko Iwamoto
出版者
浦和大学・浦和大学短期大学部
雑誌
浦和論叢 (ISSN:0915132X)
巻号頁・発行日
no.52, pp.1-29, 2015-02

アメリカ演劇における黒人女優の歴史は、アメリカ黒人史同様、白人主体のアメリカ演劇界で苦難の道であった。その業界で成功者となり得た先達たちの代表、マヤ・アンジェロウとルビー・ディーが、2014年5月末と6月半ばに死去した。2人の逝去に挟まれる時期、6月8日に開催されたトニー賞授賞式で、黒人女優の歴史でも記念すべき出来事が起こった。オードラ・マクドナルドが、演劇部門で主演女優賞を獲得したのである。オードラはすでに、ミュージカル部門での助演女優賞と主演女優賞を3回、演劇部門で助演女優賞を2回、実に5回の受賞を果たしていた。ビリー・ホリデイの役を演じた「レディ・デイ」によって、最優秀主演女優賞を獲得したのだった。アメリカ演劇界の人種を超えた女優の世界で、前人未踏の快挙である。マヤとルビーを見送ったアメリカ黒人演劇界は、オードラたち後進が引き継ぎ、先達たちの語り継ぎは、その演技に生き続けていくのである。The history of African American actresses in Broadway dramas has been marked by countless hardships. Two of the pioneers in the theatrical world passed away on May 28 and June 11, 2014. The former was MAYA ANGELOU, the Presidential inaugural ceremony poet in 1993, and the latter was RUBY DEE, a main civil rights activist. Between their deaths, the 68th Tony Awards Ceremony was held on June 8 at Radio City Music Hall. A milestone in African American history was reached in that ceremony. Broadway star AUDRA MCDONALD made history at the Tony Awards on June 8 night, when she became the most decorated actress on the Broadway stage. Audra picked up her sixth Tony for portraying jazz and blues legend Billie Holiday in Lady Day at Emerson's Bar & Grill. The Best Performance by an Actress in a Leading Role in a Play win also gave her the first Tony Awards grand slam. She had previously won gold as a best featured actress in an play(A Raisin in the Sun & Master Class),a best lead actress in a musical(Porgy and Bess)and a best featured actress in a musical(Carousel & Ragtime).
著者
瓜巣 由紀子
出版者
浦和大学・浦和大学短期大学部
雑誌
浦和論叢 (ISSN:0915132X)
巻号頁・発行日
no.53, pp.21-48, 2015-08

わが国では、社会的養護を必要とする児童が増加している。しかしながら、社会的養護の施設の区分には、障害児でありかつ被虐待児である児童が利用する施設である障害児入所施設が含まれていない。障害児でありかつ被虐待児の児童については、児童福祉法に規定される同じ「児童」でありながら、施策の適用の違い、児童福祉施策の対象あるいは障害児施策の対象となるのかにより、施設への入所制度に矛盾があるのが現状である。 そこで本論文では、児童福祉施策と障害児施策の視点から社会的養護の現状と課題について考察した。その考察からわが国の社会的養護は被虐待児をその主たる対象とし、障害児であり被虐待児についての視点は乏しいものであるという知見を得た。この社会的養護の課題解決のため、わが国の「すべての児童」を対象とした政策立案を形成するシステムの構築について提言した。
著者
田中 眞佐志 タナカ マサシ Masashi Tanaka
出版者
浦和大学・浦和大学短期大学部
雑誌
浦和論叢 (ISSN:0915132X)
巻号頁・発行日
no.52, pp.71-84, 2015-02

日本文化は、激しい外圧とじっくりとした内燃(著しく外国の影響を受けた外圧の時期と、後世「日本的」と形容される特質を醸成するいわば内燃の時期)を繰り返しながら形成されてきた。後者の代表が室町文化・江戸文化である。従来、江戸時代の文化史的区分は、元禄期(17世紀後半~18世紀初期)を中心とする前期と文化文政期(19世紀前半)を中心とする後期の二分法が行われ、18世紀(1720年代~89年=享保~宝暦~天明)は2つの文化の谷間と捉えられてきた。本論はこの谷間の時期=享保~宝暦~天明期を上方文化と江戸文化が融合する、いわば江戸文化のピークと捉え、その転換点を明暦の大火後の都市造りに求めた。そして、江戸が城下町ではなく、巨大都市に発展しながら、独特の精神的価値基準を有する江戸の町人社会が形成されていったことに照準し、江戸時代の前半と後半の幕府政治・経済社会構造の根本的相違を俯瞰しながら、江戸時代にまつわる誤解を提起・修正した。
著者
菅野 陽子 五十嵐 裕子 丸谷 充子 大久保 秀子/ 船木 美佳 柴田 崇浩 スガノ ヨウコ イガラシ ユウコ マルヤ ミツコ /オオクボ ヒデコ フナキ ミカ シバタ タカヒロ Yoko Sugano Igarashi Yuko /Maruya Mitsuko /Okubo Hideko Funaki Mika /Shibata Takahiro
出版者
浦和大学・浦和大学短期大学部
雑誌
浦和論叢 (ISSN:0915132X)
巻号頁・発行日
no.51, pp.25-50, 2014-08

浦和大学こども学部内にある親子のひろば「ぽっけ」(以下「ぽっけ」と記す)を通じた学生教育への取り組みは2013年4月で7年目を迎えた。すでに「こども理解と観察」の授業や「ぽっけ」への自由参加、インターシップの実施などの継続的な積み上げがある。さらには、Nobody's Perfect(以下NP)講座や「My Own Time-おにいさんとおねえさんと遊べるタイム-」において保育体験を提供することが学生の学びにとって有効であり、親子にとってもともに成長する機会となっていることが先行研究にて明らかになった。 今回はこれらの実績を踏まえて、「ぽっけ」での取り組みの教育的意義の検討を深める。そのために他大学の学内広場の活用を調査し、そのうち2つの大学の学内施設訪問と運営担当教員へのインタビューを行ったが、本研究は主にそれらの報告をもとに、「ぽっけ」の活動を通じて、子どもの成長とともに学生と親の育ちをどのように期待できるかを論じる。 Efforts for student education through'Pokke'('Pokke' henceforth)which is a Drop in–center at the Child Department of Urawa University, reached their 7th year in April, 2013. There has already been continuous buildup such as'Understanding and observing children'classes, free participation in'Pokke' and implementation of internships. Furthermore, previous research showed that it was useful for students to have childcare experience in the Nobody's Perfect(NP henceforth)course and 'My Own Time – a time when children can play with older people', and that parents and children also had an opportunity to learn through these experiences. This time we will deepen our review of the educational significance of our'Pokke' efforts on the basis of these results. For this purpose, we investigated the use of Drop in–center at other universities, visited two of them, and interviewed staff running them. In this paper, we discuss what our students can expect in development of students, parents and children through'Pokke', mainly on the basis of the reports of this study.
著者
丸谷 充子 市川 美恵子 大久保 秀子 伊志嶺 美津子 櫃田 紋子 菅野 陽子 船木 美佳 五十嵐 裕子 柴田 崇浩 マルヤ ミツコ イチカワ ミエコ オオクボ ヒデコ イシミネ ミツコ ヒツダ アヤコ サガノ ヨウコ フナキ ミカ イガラシ ユウコ シバタ タカヒロ Mitsuko Maruya Mieko Ichikawa Hideko Okubo Mitsuko Ishimine Ayako Hitsuda Yoko Sugano Mika Funaki Yuko Igarashi Takahiro Shibata
出版者
浦和大学・浦和大学短期大学部
雑誌
浦和論叢 (ISSN:0915132X)
巻号頁・発行日
no.48, pp.63-82, 2013-02

こどもコミュニティセンターでは、親子のひろば「ぽっけ」の参加者である親子を対象に、学生による保育付きのプログラムを実施してきた。今回、新たに親子それぞれが並行してプログラムに参加する親子並行プログラムを実施した。親プログラムは、名称を「My Own Time~わたしの時間~」とし、参加者である母親にひとときの子どもと離れた自由時間を提供する内容とした。子どもプログラムは名称を「おにいさんおねえさんと遊べるタイム」とし、親から離れて1人で学生と一緒に遊ぶ内容とした。終了後のアンケートでは、親プログラムは気持ちがリフレッシュし、子どもへの気持ちを再確認できる機会となり、子どもはプログラムへの参加が社会的経験となり、親子で共に成長する機会となった等の感想が得られた。アンケートの内容、子どもプログラムの観察と学生への聞き取り、その後の親子の様子から、プログラムの内容について考察し、大学でプログラムを行うことの意義を検討する。At the Child Community Center, the programs for parents with childcare by college students have been held since it was found. This time new programs were conducted as parents and children could join separately in the different programs at the same time. The name of the programs for the parents was "My Own Time", designed for giving them two-hours free time away from their children. Another program for children was called "Playing with Big Brothers and Sisters" which was planned for enabling the children to play with college students in the drop-in"Pokke" as they were separated from their parents. According to the results of the questionnaires, parents gained a relaxation time and found an opportunity to rediscover how they love their children. Consequently, the programs have supported the growth of both parents and children. We will examine the meanings of these programs by analyzing the results of the questionnaires, observing the children' program, listening to the students voices, and investigating continually to the relationship between parents and children.