著者
湯浅 孝康
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1_27-1_41, 2012-07-31 (Released:2014-05-21)
参考文献数
63

行政学では、 ‘Efficiency’ の訳語として伝統的に「能率」という言葉があてられてきた。しかし、近年では世間一般的に「効率」と訳されることが多い。これは新公共経営改革(New Public Management、以下NPM)の影響によるものと考えられる。「能率」と「効率」は同じ ‘Efficiency’ の訳語であるにも関わらず、わが国では「効率」を新たな概念として取り入れ、行政改革のキーワードとして使用されている。一方で、 ‘Efficiency’ そのものも学問分野を横断した統一的な定義がなされているわけではなく、また、1つの学問分野の中でもその概念は論者によって多様である。さらに、行政学のように同じ概念でも時代によって賞賛されたり批判されたりすることもある。以上から、「能率」であれ「効率」であれ、 ‘Efficiency’ を政策、施策、事務事業などの評価基準として用いるのであれば事前に明確な概念定義を行うことが必要である。また、それは1つの価値に過ぎず、その長所と短所について認識することが肝要である。
著者
田中 由美子
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.20-30, 2004-03-29 (Released:2010-06-15)
参考文献数
21

本論文の主目的は、国際協力におけるジェンダー主流化の概念を明確にし、総合的なジェンダー政策分析および評価の手法を探ることである。この分析評価手法は、我が国の国際協力および他の国際援助機関においても十分に検証されておらず、先行事例研究に基づく試みが始まったばかりである。ジェンダー主流化とは、ジェンダーと開発 (GAD) を開発の重点課題とし、ジェンダー平等を進めるための包括的取組みであり、ジェンダー平等の視点を全ての政策・施策・事業の企画立案段階から組み込んでいくことをいう。ジェンダー平等視点に立って計画・実施・モニタリング・評価を行う過程であり、政策等のジェンダー分析や男女影響評価の実施が前提となる。