著者
大桃 道幸
出版者
群馬大学医学部保健学科
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.103-110, 2003

トマス・ハーディの短編小説To Please His Wifeは, 野心のために夫と二人の息子を失った女性ジョアンナの半生を描いた作品である。ハーディの短編小説は長編小説に比べ, 過小評価されてきた嫌いがあり, To Please His Wifeもまたその例に漏れず, 因果応報, 自業自得の単純な物語として片付けられがちである。しかしながら, 小説家ハーディの円熟期に書かれたこの作品はその簡潔なペーソスあふれる筋立ての中に, 結婚, 階級(意識), 野心, 教育, 出世といった同時期に書かれた長編小説に共通するテーマが織り込まれていて, ハーディ文学を理解する上で見落とせない作品となっている。ハーディはまた, 主人公のジョアンナを野心のために身を滅ぼした一人の愚かな女性から〈船乗りの妻〉という普遍的な悲劇のヒロインへと高めることにより, To Please His Wifeを時空を超えた感動的な悲劇的作品にしている。
著者
神田 清子 飯田 苗恵 狩野 太郎
出版者
群馬大学医学部保健学科
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.25-31, 2000
被引用文献数
2

本研究の目的は, 化学療法に伴うがん患者の味覚変化に対する看護者のアセスメントとその介入の実態を明らかにすることである。対象は, 全国の500病院で働く病棟の副婦長1000名であり, 郵送法による質問紙調査を施行した。回収は634名(回収率63.0%)であり, 記入不備などを除く568名を分析した。味覚変化のアセスメントは, 「患者からの訴え」による方法がもっとも多く87.0%, 次いで「食事嗜好の変化との関連」57.6%であった。各項目に対する介入の割合は, アセスメントの割合に比べて低くなっていた。介