著者
狩野 太郎 小川 妙子 樋口 友紀 廣瀬 規代美
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.335-341, 2014-11-01 (Released:2015-01-07)
参考文献数
23
被引用文献数
1

【背景・目的】 本研究は, 老人福祉センターを利用する高齢者の足トラブルの実態と, 疾患及び足トラブル相互の関連を分析し, 足トラブルが発生するメカニズムの検討を目的とした. 【方法と対象】 利用者101名を対象に, 足部の観察と面接調査を行った. 足トラブルと疾患及び足トラブル相互の関連についてχ2検定を用いて分析した. 【結 果】 足トラブルは足部皮膚乾燥44.6%, 角質肥厚40.6%, 肥厚爪37.6%の順となっていた. 角質肥厚・足部皮膚乾燥・肥厚爪と高血圧に関連が見られた. 足トラブル相互の関連については, 角質肥厚と肥厚爪, 胼胝と巻き爪に有意な関連が見られた. 【結 語】 高血圧と足トラブルの関連については不明な部分が多いものの, 末梢循環の低下や降圧利尿剤による影響が考えられ, 足部皮膚乾燥や角質肥厚を有する者の割合が高いことから, 重点的フットケア指導が有用と思われる.
著者
武居 明美 伊藤 民代 狩野 太郎 小野関 仁子 前田 三枝子 堤 荘一 浅尾 高行 桑野 博行 神田 清子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.133-139, 2005 (Released:2006-07-07)
参考文献数
31
被引用文献数
5 1 6

【背景と目的】 外来化学療法を施行しているがん患者の不安を把握する目的で調査を行なった. 【対象と方法】 A病院外来点滴センターに通院中で同意の得られた男性33名女性48名, 平均年齢58.6±10.0歳の81名を対象とし, STAI質問紙を用いて調査した. 【結果】 不安得点は男性より女性が高く, 非乳がん患者より乳がん患者が, 60歳以上より60歳未満が有意に高かった. また診断からの年数では, 1年未満より1年以上が, PSが良い者より悪い者が高かった. 【結論】 外来で化学療法を受けているがん患者は正常成人と比較し, 状態不安得点が高かった. 不安得点が高くなる要因として, 5つの項目が明らかになった. 今後は不安内容を特定すること, 不安得点が高くなる要因がある患者への優先的な援助, 実践的援助法をシステム化してスムーズに対応していくことが課題である.
著者
狩野 太郎
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、味覚変化を抱える化学療法患者に対するICTを活用した支援システムの開発と、対処法に関するナレッジデータベースの構築である。筆者らが開発した味覚変化症状評価スケールCiTASを、タブレットPCで回答できるWebアプリケーションシステムを開発し、回答結果に基づき過去に同様の症状を体験した患者が行っていた工夫や対処法をデータベースから表示する支援システムを構築した。本支援システムは、UMINサーバ上に開設しているが、タイムリーな情報提供や双方向コミュニケーションを目的にFacebookページも開設した。現在250名程度の閲覧者を維持し、運用を継続している。
著者
綿貫 早美 狩野 太郎 亀山 絹代 筑井 夕佳織 諸田 了子 中野 良子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.109-116, 2003-03
被引用文献数
3 1

術後せん妄は重大な医療事故につながる合併症である。術後せん妄は医師と看護師が共に責任を持つべき問題であるが,高齢者の術後せん妄予防に向けた看護介入を検討した報告は少ない。今回我々はせん妄の発症率,発症時期,症状,発症因子を分析した。対象と方法:1998年〜2000年の3年間に当院泌尿器科で手術を受けた65歳以上の高齢者502人を対象に,カルテ及び看護記録から遡及的にデータ収集を行った。収集したデータをもとに術後せん妄発症率及び発症のピーク時期,症状などを分析した。また,502人中,せん妄を発症した22人を「せん妄群」とし,せん妄群と性,年齢,術式,麻酔の種類を一致させた22人を抽出し「非せん妄群」とした。せん妄群と非せん妄群を比較しせん妄発症に関連する要因を分析した。結果:せん妄の発症率は腰椎麻酔患者で2.2%,全身麻酔患者で17.1%だった。術後せん妄の発症ピークは,全身麻酔患者で術後2-3日目,腰椎麻酔患者で術当日の夜だった。せん妄の発症に関連する要因として,1)不眠・昼夜逆転 2)視聴覚障害 3)鎮痛・鎮静剤の使用が明らかとなった。結論:術後せん妄予防のため,術後早期から睡眠の援助,眼鏡や補聴器の使用,鎮痛・鎮静剤の適正使用の援助を実施することの重要性が示唆された。
著者
大山 ちあき 狩野 太郎 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.39-44, 2001-03

本研究の目的は, がん専門病院と一般病院のがん告知に関する考え方の違いを明らかにすることである。対象はがん専門病院に入院中のがん患者186名と, 10施設の一般病院に入院中のがん患者412名であった。医師の告知状況, 病名告知についての看護者の考え方などについて, 平成11年10月1日に病棟責任者記載による一斉調査を行った。その結果, 医師の告知状況は, 「がんまたは悪性腫瘍」として真実を告げている割合が, がん専門病院では84.4%であり, 一般病院の54.1%に比べると約30.0%高くなっていた。看護者が望む病名告知も医師と同様の結果であった。がん告知に対する看護者の考慮する点は, がん専門病院・一般病院ともに「病期・予後」を最優先にしていた。がん専門病院の看護者は「患者の知る権利」「患者の希望」を大切にしていた。一方, 一般病院の看護者は「家族の希望」を優先していた。以上の結果より, がん専門病院と一般病院では, がん告知に対する看護者の姿勢に明らかな違いが見られた。今後, 一般病院では看護者・医師ともに, 患者の意思を尊重した告知のあり方を, 病院独自の方法で検討していく必要性が示唆された。
著者
神田 清子 飯田 苗恵 狩野 太郎
出版者
群馬大学医学部保健学科
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.25-31, 2000
被引用文献数
2

本研究の目的は, 化学療法に伴うがん患者の味覚変化に対する看護者のアセスメントとその介入の実態を明らかにすることである。対象は, 全国の500病院で働く病棟の副婦長1000名であり, 郵送法による質問紙調査を施行した。回収は634名(回収率63.0%)であり, 記入不備などを除く568名を分析した。味覚変化のアセスメントは, 「患者からの訴え」による方法がもっとも多く87.0%, 次いで「食事嗜好の変化との関連」57.6%であった。各項目に対する介入の割合は, アセスメントの割合に比べて低くなっていた。介
著者
神田 清子 飯田 苗恵 狩野 太郎
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.379-387, 2001-11-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

【背景・目的】がん化学療法に伴う味覚変化に対して, 看護者が行っているセルフケア教育の内容を明らかにすることである.【対象と方法】全国の500病院で働く病棟の副婦長1000名であり, 郵送法による質問紙調査を施行した.回収は634名 (回収率63.0%) であり, 該当なし, 記入不備を除く568名について分析を行った.セルフケア教育内容は自由記述により回答を求め, 内容分析を行った.【結果】看護者の約59%が患者・家族を対象として, がん化学療法に伴う味覚変化に関するセルフケア教育を行っていた.セルフケア教育内容で一番多い項目は, 「味覚変化時の食事」, 次いで「症状・徴候の観察」, 「味覚回復のための含嗽液」であった.教育内容としては, 味覚変化の原因と出現時期, 観察, 食事, 含嗽, 味覚刺激方法など一連のセルフケア教育を行っていることが明らかになった.味覚を回復するための含嗽液として, イソジン, レモン水, 氷水が高頻度に指導されていた.【結論】セルフケア教育内容として, 味覚変化時の食事指導は定着しつつある.しかし, 薬剤投与中の金属味への対処方法の教育は行われておらず教育内容に含める必要があることが明らかになった.さらに味覚を回復するために実践されているレモン水については, その効果が曖昧のまま指導されており介入研究が必要であることが示唆された.
著者
樋口 友紀 小川 妙子 狩野 太郎 清水 千代子 廣瀬 規代美
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-65, 2011-03

目的:地域で生活する健康高齢者および要支援・要介護1の認定を受けている高齢者の足トラブルとフットケアニーズの実態を明らかにし,支援策を検討する際の基礎資料を得る.方法:関東地方の1カ所の老人福祉センターおよび2カ所の通所介護施設を利用する高齢者154名を対象に,自作の調査票を用いた足部の観察および面接調査を行った.結果:角質肥厚や巻き爪,胼胝など専門家によるケアが必要な足トラブルが2~4割の高齢者に認められた.足トラブルの深爪,肥厚爪,胼胝,鶏眼と『フットケア習慣』,【意識的なフットケア実践】,【フットケア指導への関心】に有意な関連が見られた.結論:セルフケアによる改善が期待できる足トラブルを持つ高齢者が多く,対象の問題に合わせ医療機関の受診も含めた具体的な指導を行う必要性が示唆された.また,足爪に問題を持つ高齢者は,フットケア指導への関心が高いため,正しい爪の切り方を含めた実用的なフットケア指導の必要性が示唆された.原著