著者
塚田 三香子 畠山 幸子
出版者
聖霊女子短期大学
雑誌
聖霊女子短期大学紀要 (ISSN:0286844X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.40-48, 2007-03-31

アルコールの過剰摂取は上部消化器系ガン、脳血管疾患などをはじめとする様々な疾患罹患へのリスクを上昇させることが知られている。秋田県はアルコール消費量の多い県であると同時に胃ガン、脳血管疾患による死亡率が高く、これらの間の関連が疑われる。アルコール摂取に関連のある遺伝的要因の1つとして、アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)活性の高低が関連することはよく知られている。今回、この酵素活性が秋田県に居住する女子学生の父親の飲酒頻度に与える影響について、他の地方の調査結果と比較することによって明らかにすることを試みた。その結果、以下の3点が得られた。1.ALDH2の活性を見るための試験である、アルコールパッチテスト、竹下らが開発した質問紙法(ALST)の正判定率について、遺伝子型を直接決定するPCR法と比較することにより求めたところ、どちらの方法も80%以上であり、2つの方法を併用すれば90%以上の正判定率が得られることが明らかとなった。2.秋田県在住の72人の女子について、PCR法を用いてALDH2^*1、ALDH2^<**>2の遺伝子頻度を求めたところ、各々0.83、0.17であり、原田によって東北地方のALDH2^*1の遺伝子頻度として求められた0.81に近い数字となった。これは他の地方と比較して高い数字であり、秋田県では3人に2人がALDH2活性者、1人が不活性者であることを意味する。3.秋田県在住女子学生68人の父親のALDH2活性をALSTから推定し、活性者、不活性者別に飲酒頻度を調べたところ、各々72.7%、45.8%であった。飲酒しない者は活性者6.8%、不活性者で20.8%であり、ALDH2活性が飲酒頻度に及ぼす影響は明らかであった。しかし、これらの値を他の地方と比較した場合、活性者、不活性者ともに、10%以上毎日飲酒する者の割合が高く、これら飲酒行動と疾患罹患の関わりが懸念された。
著者
松本 祥子
出版者
聖霊女子短期大学
雑誌
聖霊女子短期大学紀要 (ISSN:0286844X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.88-96, 2000-03-31

東北・北海道で栽培しやすい国産のイチゴ品種の中からジャムに最適なイチゴ品種を探すために,供試した5品種(盛岡16号,盛岡17号,盛岡19号,宝交早生,シュアクロップ)を用いてジャムを調製してその性状と食味について比較した。健康のために,ジャムの調製方法には低い糖度でもゲル化する低メトキシルペクチンを用いる方法を用いた。本研究で明らかになったことは次のとおりである。(1)供試品種の中で,盛岡17号のイチゴの果実がアメリカ合衆国で育種されたジャム用品種のシュアクロップに最も類似しており,糖度は低いが酸味が強く,果実全体があざやかな赤色で,特にビタミンC含量が多いのが特徴であった。(2)各供試品種から調製したジャムの性状を比較したところ,盛岡17号のジャムが最もあざやかな赤色で,特にビタミンC含量が多かった。また盛岡17号ジャムは適当な硬さと粘りに仕上がり,市販ジャムとほぼ同じであった。(3)供試5品種から調製したイチゴジャムの嗜好を官能検査によって比較したところ,好まれた順位として食味では盛岡17号と盛岡19号のジャム,香りでは盛岡17号,色では盛岡19号が統計的に有意に好まれた。総合評価における好ましい順位では,盛岡17号のジャムが最も有意に好まれ,盛岡19号のジャムも有意に好まれた。