著者
藤居 岳人
出版者
阿南工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、懐徳堂学派の教育思想を分析した。特に、懐徳堂学派の理念としての経学思想が現実世界に関わる経世思想―その一環としての教育思想―に反映される様相を分析し、道徳と政治との双方の重視が懐徳堂儒者の基本的立場だと明らかにした。そして、道徳と政治とのつながりが「修己」から「治人」へと向かう直線的な流れではなく、両者を同列に置いたうえで止揚することによって得られる高度な「自己」を基底とする統合を懐徳堂学派の儒者が考えていたことを解明した。その高度な「自己」の概念を提出したことが日本近世儒教思想上における懐徳堂学派の思想史的意義である。
著者
河井 崇
出版者
阿南工業高等専門学校
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2008

干潟造成による底生生物の生息地創出の再現性を評価するため,徳島県阿南市大潟人工干潟(泥干潟)・徳島市マリンピア沖洲干潟(砂干潟)の2つの干潟において,隣接地にそれぞれ類似した物理的環境特性を持つ干潟を新たに創出しその後の底生生物の加入状況を追跡した.その結果,両新規創出干潟は共に現時点で既存干潟の状況を再現できておらず,種による分布特性の違い,及びその要因となる生態的特性と環境条件との関連性のより一層の理解が重要であることが示唆された.さらに,その評価過程においては,種間の環境に対する時間的反応性,生活史,寿命等の違いを考慮した,長期的な実験・観察が必要であると考えられる.
著者
橋本 温
出版者
阿南工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

都市部の下水および河川水から検出されたクリプトスポリジウムオーシストを顕微鏡下でマニピュレートして単離し,オーシスト1細胞からDNAを抽出して,18S rRNA遺伝子領域の一部を標的としたPCR法でDNAを増幅した。増幅したDNAはシーケンスして塩基配列を明らかにし,検出されたクリプトスポリジウムの種・遺伝子型を調べた。下水からは239個のクリプトスポリジウムオーシストを単離し,そのうち121個(62%)の遺伝子型が明らかになった。最も検出頻度が高かったものはCryptosporidium parvum genotype1で,78個(33%)で,ついでC.parvum genotype2 16個(7%),C.meleagridis 13個(5%)であった。下水では人への感染が報告されているこの3つのタイプがほとんどであった。河川水については,遺伝子型の解析が困難であったものの割合が下水よりも多く,71個のクリプトスポリジウムオーシストを単離したうちの23個(32%)についてのみ,遺伝子型が明らかになった。このことは,河川水中で検出されるオーシストが下水中のものよりも感染者より排出されてからの時間が長いなどによって,DNAの保存性が低くなっていることが一つの要因として推測された。河川から単離されたクリプトスポリジウムも下水同様にC.parvum genotype1の割合が最も高く18個(23%)であった。さらに豚を由来とするC.sp PG1-26が3個(4%)であった。オーシストのDNAの保存性についてFISH法を用いて調査する手法について検討したところ,精製水中では保存性は高いものの,下水に暴露させたオーシストでは2日程度でFISH法の染色性が著しく低下した。このように,FISH法を生育活性の評価に用いるための基礎的な情報を得ることができた。