- 著者
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村山 元展
- 出版者
- 高崎経済大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2000
本研究は自治体レベルの地域農業構造政策の展開、農協の広域合併の進展、複数市町村による農業公社設立の動き、さらには市町村合併の推進といった近年の我が国農業の動向を背景に、標記の課題に迫ろうとしたものである。まず青森県を事例とした県と市町村の連携の取り組みである。青森県では平成7年から地域農業構造政策の柱として「ローラー作戦」を実施している。これはソフトの事業で、一市町村あたり平均年間250万円を措置し、市町村と普及センター、JA、農業者等が一体となって集落や旧村といった具体的な地域単位に農業構造問題を解明し、農業構造の改革に取組むものである。調査した自治体では特に稲作部門の担い手育成、規模拡大の実現と、複合部門の拡充による所得増大効果が実証できた。大分県津江地区では、中津江・上津江・前津江の三村とJA日田が連携して第三セクターの農産加工「(株)ツエ・エーピー」を設立し、地域農業振興に大きな役割を果たしている。特にワサビと柚子の買い入れは、生産農家の所得安定に寄与している。また隣接する大山町農協が経営する直売施設「木の花ガルテン」への出荷も農家経済の増大に寄与しており、津江地区のみならず大山町を含めたヨリ広域の自治体間連携の可能性と必要性が析出された。広域農協と市町村農業公社の検討事例が琴丘町である。広域合併農協管内で唯一農業公社をもつのが琴丘町である。琴丘町では合併以前から中山間地域対策として町主導の梅産地形成に取り組んできたが、その加工施設の事業主体をめぐって町と合併農協との間で問題が生じている。農協の広域性と自治体の個別性の齟齬である。今後は梅を含めた広域的な他品目産地形成を農協の地域戦略とすることが求められている実態が明らかになった。これら以外にも水田転作や大区画圃場整備事業に焦点を当てた広域的取り組みを検討したが、これについては報告書にて詳述する。