著者
千葉 貢
出版者
高崎経済大学
雑誌
地域政策研究 (ISSN:13443666)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.133-150, 2013-03
著者
小牧 幸代
出版者
高崎経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

南アジアのムスリム多住地域で観察されるイスラームの聖遺物の複製化・商品化現象は、前近代的で呪術的な信仰の残滓ではなく、9.11以降のインド・パキスタンでよりいっそう激しくなった異なる宗教運動間の対立状況と、近隣諸国・欧米諸国などとの政治経済外交関係の変化という文脈において捉え直すべきものである。したがって、「マテリアル・イスラーム」の傾向は、イスラームの「原理主義」的傾向に対抗して顕在化すると考えられるのである。
著者
永田 瞬
出版者
高崎経済大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、ジーンズ産業における若年層のキャリア形成と地域間ネットワークの課題を明らかにする。具体的には、①三備地区(岡山県、広島県)におけるメーカー側の製造・販売ネットワークと人材育成の分析、②若年層の就業意識と学校側カリキュラムである。三備地区の繊維産業集積における自社ブランドメーカーは、縫製加工業者や洗い加工業者と密接な取引関係を結び、産地外の織布メーカーとも取引を活発化させている。学生服メーカーは、短期需要に即応するため、国内立地を選択している。以上の事情は、他地域の産地型産業集積にとっても示唆に富む。
著者
松本 彪 久宗 周二
出版者
高崎経済大学
雑誌
高崎経済大学論集 (ISSN:04967534)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.43-50, 2012-06
著者
戸所 隆
出版者
高崎経済大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

地域主権の視点から知識情報社会の国土形成に適した大型公共事業・社会基盤整備の在り方を研究した。この研究は従来の中央集権型地域政策でなく地方分権型地域政策の視点から、国土政策の思考過程を都市の論理と村落の論理の対立から両者を止揚して把握することに努めた。具体的には八ッ場ダム建設や新幹線建設などを例に、大型公共事業の整備やその建設中止・延期が地域づくりや国土構造形成に与える影響を研究し、地域主権に基づく地域開発哲学の在り方を検討した。その結果、次の結果を得た。工業化社会から知識情報化社会への転換し、人口縮減時代に入った日本は、市民も行政も混乱しており、国民、とりわけ若者に夢と希望を持って住みたい・働きたい社会・まちを創ろうとする新しい開発哲学・まちづくり哲学が不可欠となっている。かかる開発哲学に基づいた地域論の構築には、"ものづくり"中心の社会構造から"ものづくり"を基盤に"ひとづくり"・"時間づくり"に重点を移した社会構造にする必要がある。また、交流・情報・文化・創造・個性化・コンパクト化・国際化・多様化・ボーダレス化・地域連携をキーワードに、地域性を無視した大規模開発から地域資源を活かした地域づくりへの転換が求められる。かかる開発手法は、資本の論理・生産者の論理・強者の論理による地域経営から地域の論理・消費者の論理・弱者の論理に重点を置いた地域経営への転換を意味する。そのためには統治形態を中央集権型から地方分権型へと転換させ、地域主権を確立するための新たな開発哲学を創造する必要がある。また、新たな開発哲学に基づく地域づくり・まちづくりに努め、21世紀のあるべき国のかたちへと日本を再構築しなければならない。東日本大震災の復興には新しい開発哲学に基づいた復興グランドデザインを構築して推進する必要がある。そのためにも、この開発哲学に関する研究を更に深化させることが重要である。
著者
西野 寿章
出版者
高崎経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、戦前のわが国の主に山村に立地した電気利用組合の設立過程や背景を明らかにして、民営主導で展開した戦前の電気事業における、その歴史的意義を検証するものである。本研究では、とくに多くの電気利用組合が開業した府県を中心として調査研究を行った。しかしながら、手懸かりとなる市町村史や府県史等、地域史の中に電気利用組合の記録が残されているケースは少なく、その全容を解明するのは困難であった。とはいえ、いくつかの研究成果を見出すことができた。第一には、電気利用組合設立の動機の多くは、民営電灯会社が配電地域としつつも、家屋が散在しているために配電の対象から除外したことにあった。養蚕が盛んであった大正時代の山村では、石油ランプによる火災がたびたび発生しており、安全で、点灯に手間の掛からない電灯へのニーズが高まっていた。第二には、電気利用組合は1923(大正12)年以降に急増するが、その背景には、それまで電灯会社の育成のためにいわば保護政策をとっていた逓信省が、1922(大正11)年に電気利用組合を認可する方針へと転換したことにあった。第三には、住民出資によって設立された電気利用組合は、地域の内発性に基づいて設立されたことである。戦前の電力供給ネットワークの末端が民主的に形成され、運営されていたことは、今日のエネルギー問題、環境問題の地域の対応を考えるのに示唆的である。しかしながら、戦前の地主小作制度下において、電気利用組合設立に際して、住民にどのような対応があったかについては、資料の制約から明確にすることはできなかった。この点については、引き続き、資料収集と分析を進めることによって明らかにする努力をしたい。
著者
山本 芳弘
出版者
高崎経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

研究課題1として、住宅用太陽光発電を効率的に普及させるための太陽光発電買い取り制度について研究した。社会厚生や電気料金負担の観点からは、設置家計が電力販売量を増やすためにどの程度電力消費を抑制するかが鍵になることを明らかにした。研究課題2として、廃棄物系バイオマス利活用事業の効果的な運営形態について研究した。効果的な運営形態は、投入するバイオマスや生産物の種類等に関連することが示唆された。
著者
岸田 孝弥 久宗 周二 石井 満 武井 昭
出版者
高崎経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究における自動券売機調査の操作時間については、押しボタン式でも高年齢者は、中年層や青年層よりも時間がかかっていた。タッチパネル式にになると、中・高年齢層の操作時間は、青年層や子供らの年齢層との間で有意差が認められた。中・高年齢層はタッチパネル式の操作に手こずっている様子がうかがわれた。中途視覚障害者の自動券売機の利用状況についての調査では、87名の中途視覚障害者と56名の晴眼者に同一の質問を行い問題点を明らかにした。タッチパネル式自動券売機の障害者対応機器として設置されている音声ガイドは、使用経験のある障害者は58.1%に過ぎず、利用できない障害者が16.3%いた。テンキー入力装置については使用経験者は、52.3%に留まっており、利用できなかった人も23.3%いた。実際に切符を購入する際に、タッチパネル式の券売機を利用すると答えた視覚障害者は25.3%に過ぎず、62.7%がボタン式の券売機を利用していた事実をしると、タッチパネル式自動券売機の使いにくさをうかがい知ることができた。なお、視覚障害者が利用する頻度の多い現行のボタン式自動券売機でも料金表示の大きさについては82.0%の障害者が悪いと評価していた。障害者にやさしい自動券売機を設計することの必要性が分かった。この調査結果をもとに、弱視者12名について、タッチパネル式自動券売機の利用時の行動分析について実験的研究を行った。弱視者によると、タッチパネルの背景色は、橙、ボタンの色は黒の組み合わせが最も良い評価された。ボタンの形については、弱視者の立場から考えると、大きいものが明らかに良いとされていたが、実用性や社会的な適応性から考えると、余り大きさだけにこだわるわけにはいかない。となるとボタンごとの間隔や文字の間隔を工夫することが必要であろう。最後に男女大学生10名、弱視者8名により、ATMのユーザビリティについて実験を行った。タッチパネル式ATMの電話型および計算機型の入力方式について検討したところ、数字の1にオレンジの色を着色した色付にすると操作性が上することがわかった。しかし、この程度では弱視に対してはそれほどのサポートにはならないことも確められた。自動販売機のレベルに、自動券売機やATMが近づくために、現場、現物、現実をベースとした地道な調査による開発のための資料の収集が必要となろう。
著者
富澤 一弘
出版者
高崎経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

群馬県勢多郡黒保根村の水沼製糸所(現桐生市黒保根町水沼、平成17年6月、合併にて黒保根村より移行)は,明治7年創業の県下最初の民間の洋式器械製糸場であり、社長星野長太郎、実弟新井領一郎の連繋のもと,本邦初の生糸直輸出を敢行した人物として知られている。従ってこの生糸直輸出に焦点をあわせて、行われた研究等は、報告者のものも含めて少なくない。しかしながら、明治35年、組合製糸甘楽社加盟以降、昭和17年、戦時統制化の営業停止に至るまでの、水沼製糸所経営史を総合的に見通すような研究は絶無である。それ故、報告者は,明治7年以降、昭和17年に至る水沼製糸所の経営に関する原史料を体系的に蒐集,以って明治前期一昭和前期までの全期間の経営史を明らかにすることを課題として、平成15年度以来、4ヵ年にわたり研究を継続してきた。この間の研究実績として、報告者は星野長太郎文書(現桐生市黒保根町水沼・杉崎静代氏所蔵)の調査を実施、水沼製糸所経営関連の史料を抽出して複写を行うと同時に、未整理史料の整理・複写に従事してきた。それらの概要は、日誌、日記、帳簿類、商用書翰、領収書等、きわめて多岐にわたるが、未整理商用書翰の大量出現を前に、これら史料の整理・複写に重点を置いて、作業を行ってきた。また史料の永年的保存の見地から規格性を有する文書箱を活用、史料の機能的配置や、防虫的措置にも努めてきた。さらに複写した史料の翻刻・活字化にも精力的に取り組んできた。かかる成果をうけて、別紙のような業績も生み出している。もとより万余の近代文書群故に、作業・研究ともに途上であるが、平成19年度以降、論文執筆、単著化を目指していく積りである。