著者
大山 幸綱 吉本 好延 浜岡 克伺 吉村 晋 松田 司直 橋本 豊年 佐藤 厚
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.45-50, 2009-03-31
被引用文献数
1

本研究の目的は,自力で外出可能な在宅脳卒中患者の閉じこもりに関連する身体的・心理的・社会的要因を検討することである.対象は,退院後6ヶ月以上経過した自力で外出可能な高齢脳卒中患者27名とした.質問紙を用いたアンケート調査にて,閉じこもりの有無,転倒自己効力感,主観的健康感,老研式活動能力指標,家庭内および地域での役割の有無,親しい友人および親戚の有無など心理的・社会的要因を調査した.また,理学療法診療録より,Brunnstrom Recovery Stage,10m 歩行時間,Barthel Indexなど身体的要因を調査した.統計解析は,閉じこもりの有無と身体的・心理的・社会的要因との関連性について,群間比較およびロジスティック回帰分析を用いて検討した.自力で外出可能な患者27名中,閉じこもりは12名(44.4%)であった.閉じこもり群は,非閉じこもり群より,屋外の転倒自己効力感が有意に低値を認め,親しい友人および親戚がいない患者の割合が有意に高値を認めた.性別,年齢で調整したロジスティック回帰分析の結果,閉じこもりに対する独立した要因として,屋外の転倒自己効力感,親しい友人および親戚の有無が抽出された.自力で外出可能な在宅脳卒中患者の閉じこもりを考慮した場合,身体機能に加えて,転倒自己効力感に着目した評価およびアプローチが重要であると考えられた.
著者
坂上 昇 栗山 裕司 山崎 裕司 大倉 三洋 酒井 寿美 中屋 久長 山本 双一
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-17, 2003-03-31
被引用文献数
1

本研究の目的は,固定用ベルト付きハンドヘルドダイナモメーター(以下,HHD)を用いた等尺性足背屈筋力の測定方法を考案し,その測定方法による検者間再現性と検者内再現性について検討することである.対象は,健常成人22名(男性11名,女性11名)である.被検者の肢位は背臥位とした.センサーを足背の中足骨部に付属のマジックテープで固定した.そして,センサーが装着された固定用ベルトを,被検者の足底方向に位置し片膝立ち位となった検者の大腿部に巻き付けて固定した.測定は,各下肢に対して2回実施し,最大値を測定値として採用した.検者間再現性を検討するために,検者Aと検者Bの2名の理学療法士が等尺性足背屈筋力の測定を行った。また,検者内再現性を検討するために,検者Aが1回目の測定の数日後に,同一被検者に対して同一の測定を2回目として実施した.等尺性足背屈筋力値は,検者Aが17.25±3.44kg,検者Bが17.35±2.87kgであって,検者間級内相関係数は0.903と極めて良好であった.検者Aによる等尺性足背屈筋力値の1回目の値は17.25±3.44kg,2回目の値は17.84±2.73kgであって,検者内級内相関係数は0.872と良好であった.固定用ベルト付きHHDを用いた我々が考案した足背屈筋力の測定方法は,センサーの固定性が得られ,足背屈程度の筋力であれば高い再現性のもとで測定できることが示唆された.これにより,等尺性足背屈筋力を定量的に測定することができ,症例に対して有用な情報を即時に提供できるものと考える.