著者
吉本 好延 大山 幸綱 浜岡 克伺 明崎 禎輝 吉村 晋 野村 卓生 佐野 尚美 橋本 豊年 佐藤 厚
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.245-251, 2009 (Released:2009-05-28)
参考文献数
14
被引用文献数
8 4

[目的]本研究の目的は,在宅における脳卒中患者の転倒の有無と,入院中の身体機能との関連性を調査し,入院中から在宅での転倒予測が可能かどうかを検討した。 [対象]入院中に歩行可能であった脳卒中患者79名であった。[方法]身体機能の評価として,Brunnstrom Recovery Stage,片脚立位時間,10 m歩行時間などを発症から3ヶ月以降(発症から身体機能評価までの平均期間111.1 ± 19.6日)に測定し,退院後1年間の転倒状況は,郵送法を用いたアンケート調査を行い,入院中の身体機能との関連性を検討した。[結果]転倒者は50名(63.3%)であった。転倒群は,非転倒群と比較して,Brunnstrom Recovery Stage,麻痺側片脚立位時間,非麻痺側片脚立位時間,麻痺側膝関節伸展筋力,非麻痺側膝関節伸展筋力,Barthel Indexの項目が有意に低値であった(p<0.05)。10 m歩行時間の項目は有意に高値であった(p<0.05)。ロジスティック解析の結果,麻痺側片脚立位時間は最も重要な転倒関連因子(オッズ比:0.902,95%信頼区間:0.829~0.981)であると考えられた。麻痺側片脚立位時間3.5秒をカットオフ値とした場合,感度86.0%,特異度69.0%であった。[結語]在宅における歩行可能な脳卒中患者の転倒予測として,入院中の麻痺側片脚立位時間の測定が有用である可能性が示唆された。
著者
浜岡 克伺 前田 理奈 岡林 碧 杉元 歩実 山川 卓伸 山中 伸 橋本 豊年 吉本 好延
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.933-937, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
18
被引用文献数
13 9

〔目的〕本研究は,FIMを運動項目および認知項目別に分類しcut-off値を明らかにすることであった.〔対象〕対象は脳卒中患者215人とした.〔方法〕方法は,過去5年間の診療録を後向きに調査した.退院後の転帰先を在宅復帰と施設入所・転院の2群に分類し,cut-off値はROC曲線から算出した.〔結果〕FIM運動項目のcut-off値57.5点では,感度78.7%,特異度89.7%であり,FIM認知項目のcut-off値23.5点では,感度73.7%,特異度80.6%であった.〔結語〕脳卒中患者の在宅復帰には,FIM運動項目57.5点,FIM認知項目23.5点以上の能力が必要であることが示唆された.
著者
吉田 啓志 近藤 駿 増田 裕里 嶋尾 悟 浜岡 克伺 成冨 博章
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.323-326, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕本研究は,リハビリ後自宅退院した脳卒中患者の活動範囲を屋内群と屋外群に分類し,屋外活動の可否を最も予測可能な退院時身体的因子のカットオフ値を明らかにすることとした.〔対象と方法〕自立歩行可能で自宅退院した脳卒中患者31名を対象とした.退院3ヵ月後の活動範囲をLife Space Assessment(LSA)を用いて調査した.退院時評価項目のうちLSA合計点と有意に相関する指標を抽出し,屋外活動判別に最も適したカットオフ値を求めた.〔結果〕6分間歩行距離(6MD)のカットオフ値が最も高い判別能を示し,その値は358.5 mであった.〔結語〕脳卒中患者の自宅退院後の屋外活動を維持・向上させるためには入院中の6MDにおいて350 m以上を目指す必要があることが示唆された.
著者
肥田 光正 出口 祐子 宮口 和也 中園 雅子 平田 直希 中川 理恵 北山 淳 浜岡 克伺
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.529-533, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
26
被引用文献数
2

〔目的〕本研究の目的は,大腿骨頸部骨折を受傷し,人工骨頭置換術を施行した患者を対象に歩行動作能力の回復を予測する因子として,急性期術後痛の強度と下肢筋力を調査することである.〔対象と方法〕対象者は,外傷による大腿骨頸部骨折後に人工骨頭置換術を施行した48名のうち除外基準の該当者を除く31名とした.術後の急性痛は,Verbal Rating Scaleを用いて術後7日目に患側の最大荷重時の疼痛を測定した.下肢筋力は,術後7日目の等尺性膝伸展筋力体重比を測定した.〔結果〕早期歩行自立群と歩行自立群は,疼痛は中等度の荷重時痛で,両下肢等尺性膝関節伸展筋力は筋力体重比16.8%で一定の判別精度を示した.〔結語〕歩行動作自立に必要な日数は,急性期術後痛強度および膝伸展筋力に一定の影響を受けることが示唆された.
著者
明崎 禎輝 山崎 裕司 野村 卓生 吉本 好延 吉村 晋 浜岡 克伺 中田 裕士 佐藤 厚
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.301-305, 2008 (Released:2008-06-11)
参考文献数
16
被引用文献数
4 3

本研究では,階段昇降の自立獲得に必要な麻痺側下肢荷重率を検討した。対象は脳血管障害片麻痺患者110名である。これらの対象者に対して,年齢,体格指数,発症からの期間,非麻痺側下肢筋力,下肢ブルンストロームステージ,深部感覚障害の有無,非麻痺側・麻痺側下肢荷重率などを調査・測定した。2項ロジスティック回帰分析の結果,麻痺側下肢荷重率のみが階段昇降自立の有無に関係する有意な因子であった。さらに,階段昇降の自立獲得には麻痺側下肢荷重率のカットオフ値が84.0%において高い判別精度を示した。
著者
大山 幸綱 吉本 好延 浜岡 克伺 吉村 晋 松田 司直 橋本 豊年 佐藤 厚
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.45-50, 2009-03-31
被引用文献数
1

本研究の目的は,自力で外出可能な在宅脳卒中患者の閉じこもりに関連する身体的・心理的・社会的要因を検討することである.対象は,退院後6ヶ月以上経過した自力で外出可能な高齢脳卒中患者27名とした.質問紙を用いたアンケート調査にて,閉じこもりの有無,転倒自己効力感,主観的健康感,老研式活動能力指標,家庭内および地域での役割の有無,親しい友人および親戚の有無など心理的・社会的要因を調査した.また,理学療法診療録より,Brunnstrom Recovery Stage,10m 歩行時間,Barthel Indexなど身体的要因を調査した.統計解析は,閉じこもりの有無と身体的・心理的・社会的要因との関連性について,群間比較およびロジスティック回帰分析を用いて検討した.自力で外出可能な患者27名中,閉じこもりは12名(44.4%)であった.閉じこもり群は,非閉じこもり群より,屋外の転倒自己効力感が有意に低値を認め,親しい友人および親戚がいない患者の割合が有意に高値を認めた.性別,年齢で調整したロジスティック回帰分析の結果,閉じこもりに対する独立した要因として,屋外の転倒自己効力感,親しい友人および親戚の有無が抽出された.自力で外出可能な在宅脳卒中患者の閉じこもりを考慮した場合,身体機能に加えて,転倒自己効力感に着目した評価およびアプローチが重要であると考えられた.