- 著者
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森 主一
- 出版者
- The Genetics Society of Japan
- 雑誌
- 遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.5, pp.150-156, 1949
- 被引用文献数
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1. キイロショウジョウバイとクロショウジョウバイの羽化日週期の状態はかなり違う。一般に前者は後者に比べて羽化曲線がなだらかである。特に5-8時に羽化するものは, 前者では全数の20-30%であるのに, 後者では50%以上に及ぶ。<br>2. クロショウジョウバイの純野生種 (<i>red</i>) の羽化週期状態と, 突然変異品種 <i>w</i> のそれとは大きい違はないが <i>st</i> とはかなり違う。即ち11-14時に羽化するものが, <i>red</i> で12%位であるのに, <i>st</i> は20%以上に及ぶ。<i>red×st, st×w</i> の交雜実驗を行うと, この <i>st</i> に見られる性質は, その眼色に対する表現に伴つて野生型に対し劣性的に行動する。<br>3. キイロショウジョウバイでは純野生種, <i>w, st, dp, vg</i> の間には差を発見しがたい。しかし <i>se</i> との間にはかなりの差がある。即ち2-5時に羽化するものが, <i>se</i> では野生種に比べて著しく少なく, 8-11時, 11-14時に羽化するものがかなり多い。この性質は, 外部形態発現因子としての <i>se</i> が劣性であるに拘らず, 野生種に対し多分に優性的に行動するという著しい特徴である。