著者
伊藤 崇之 福島 邦彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09135713)
巻号頁・発行日
vol.J70-D, no.2, pp.451-462, 1987-02-25

非線形な抑制機構を持つ神経細胞を構成要素として聴覚神経系の特徴抽出モデルを構成し,計算機シミュレーションでその動作を確認した.モデルは,基底膜に相当するバンドパスフィルタ群,ヘアセルに相当する半波整流回路,および特徴抽出部からなる.特徴抽出部は,同一の特性を持つ細胞を一次元的に並べた細胞層を,複数段,縦続接続して構成した多層回路である.個々の細胞は,入力側の層との空間結合と一次遅れ要素により,興奮性入力,抑制性入力それぞれに時空間的な加算を行った後,非線形な抑制機構(シャント型抑制)とアナログしきい特性を経て出力を出す.生理学的な知見および音声の特徴を考慮して,周波数一定部分を抽出するCF型細胞層,周波数の変化する部分を抽出するFM型細胞層,摩擦性雑音を検出する摩擦性雑音型細胞層の3種の特徴抽出細胞層を構成した.これらは,それぞれ,母音のホルマント,子音から母音へのわたりや拗音,多くの子音に対応する特徴である.実際の音声を入力して計算機シミュレーションを行い,モデルが,上に述べた音声に含まれる種々の特徴を正しく抽出することを確認した.

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福島先生、聴覚系もやってたんだな。 "聴覚系の特徴抽出機構の神経回路モデル" https://t.co/xh6exV5uoJ

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