著者
小久保 安朗 大木 央 杉田 大輔 中嶋 秀明
出版者
三輪書店
雑誌
脊椎脊髄ジャーナル (ISSN:09144412)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.405-412, 2016-04-25

はじめに 仙骨骨折は,交通外傷や高所からの転落などによる高エネルギー外傷により発生し,骨盤輪骨折の23%に伴うと報告されている12).著者らの施設において,完全不安定型骨盤輪骨折の27%に仙骨骨折を伴っていたが,仙骨横骨折は全骨盤輪骨折224例中5例(2%)とまれであった20).不安定型骨盤輪骨折は高エネルギー外傷により発生するのに対し,仙骨横骨折は転倒などの比較的小さい外力でも発生することがある.また,最近は非常に軽微な外力で発生する骨脆弱性骨盤骨折が注目されており高頻度に仙骨骨折を伴うが,高エネルギー外傷で発生する仙骨骨折とは骨折の機序が大きく異なるため,同一の骨折として論ずることはできない.一方,仙骨骨折の約半数に神経損傷を伴うとの報告4)も存在する.本稿では,高エネルギー外傷に伴う仙骨・尾骨骨折の診断と治療について論述する.

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