著者
久保田 雅史 小久保 安朗 佐々木 伸一 嶋田 誠一郎 北出 一平 松村 真裕美 亀井 健太 北野 真弓 野々山 忠芳 鯉江 祐介 松尾 英明 成瀬 廣亮 小林 茂 馬場 久敏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.873-878, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
37

〔目的〕本研究の目的は,術後早期から股関節内外転筋力強化運動を重点的に行うことで,退院時の歩容に影響があるかを明らかにすることとした。〔方法〕対象は2005年1月から2007年12月までの期間で骨盤骨折を受傷し,当院にて骨接合術を施行した12例とした。術後2週目より骨折側の筋力強化を開始した6例を標準リハ群,術後2-3日後より筋力強化を開始した6例を早期リハ群とした。全荷重可能となった退院時に三次元動作解析装置を用いて歩行解析を行い,群間における歩行速度,歩幅,ケイデンス,股関節外転モーメントを比較した。〔結果〕歩行速度,歩幅,ケイデンスは群間に有意差は見られなかったが,早期リハ群の立脚期股関節外転モーメントは標準リハ群と比較して有意に高値を示していた。〔結語〕本研究の結果より,術後早期からの股関節内外転筋力強化運動によって退院時の歩行能力が改善される可能性が示された。
著者
杉田 大輔 宮崎 剛 彌山 峰史 小久保 安朗 内田 研造 馬場 久敏
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.1160-1163, 2011-10-01

過去10年間に観血的治療を施行したピロン骨折17症例(平均年齢49.4歳、男性14例、女性3例)の治療成績を検討した。受傷機転は転落・転倒が9例、交通事故4例、側方からの重量物による圧挫損傷が2例、スポーツ外傷が2例であった。術前の軟部組織の評価では、Tscherne分類のgrade 0~1が9例、grade 2が3例、grade 3が2例であった。手術はプレートあるいはスクリューを単独または併用した観血的骨接合術を施行し、平均経過観察期間は3.8年であった。OvadiaのX線学的評価ではgood11例、fair5例、poor1例、主観的評価ではexcellentもしくはgood11例、fair4例、poor2例、客観的評価ではexcellentもしくはgood10例、fair4例、poor3例であった。合併症は感染2例、骨癒合不全5例であった。
著者
小久保 安朗 大木 央 杉田 大輔 中嶋 秀明
出版者
三輪書店
雑誌
脊椎脊髄ジャーナル (ISSN:09144412)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.405-412, 2016-04-25

はじめに 仙骨骨折は,交通外傷や高所からの転落などによる高エネルギー外傷により発生し,骨盤輪骨折の23%に伴うと報告されている12).著者らの施設において,完全不安定型骨盤輪骨折の27%に仙骨骨折を伴っていたが,仙骨横骨折は全骨盤輪骨折224例中5例(2%)とまれであった20).不安定型骨盤輪骨折は高エネルギー外傷により発生するのに対し,仙骨横骨折は転倒などの比較的小さい外力でも発生することがある.また,最近は非常に軽微な外力で発生する骨脆弱性骨盤骨折が注目されており高頻度に仙骨骨折を伴うが,高エネルギー外傷で発生する仙骨骨折とは骨折の機序が大きく異なるため,同一の骨折として論ずることはできない.一方,仙骨骨折の約半数に神経損傷を伴うとの報告4)も存在する.本稿では,高エネルギー外傷に伴う仙骨・尾骨骨折の診断と治療について論述する.