著者
中村 香子
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.92, pp.69-81, 2017-12-31 (Released:2018-12-31)
参考文献数
22

本稿は,アフリカにおける民族文化観光においてもっとも長期的に有力な「商品」でありつづけている「マサイ」をとりあげ,彼らが住民主体でおこなう観光業の実態を検証することを目的とする。前半部では,民族文化観光の現場で何がどのように観光資源化されており,それによってどの程度の収益がもたらされているのかを明らかにし,そのうえで,観光業の経済基盤としての脆弱性を指摘する。人びとが「最少努力・最少投資」の姿勢で観光業に対峙していることをふまえて,後半部では,人びとが新たに民族文化観光の資源として利用しようとしているものを分析する。そのひとつは女性の「苦境」であり,もうひとつは子供の「苦境」である。いずれも国際社会による開発支援の定番のイメージであり,観光客が無意識に求めているもうひとつのステレオタイプ─「かわいそうなアフリカ」に合致するものである。「伝統」と「未開」を「光」としてみせ,「苦境」を「影」として聞かせながら,人びとは,観光客から新たな支援を呼び込む場として民族文化観光村を活用しているのである。

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あ、でもザンジバルは私が話を聞いたマサイの子たちに関してはアルーシャとハンデ二(モロゴロ)出身が大半でした。 ケニアの海辺の観光地にいるマサイはサンブルな場合も多いと聞いたことがあります。ケニアの「マサイ」を含めた観光に関しては… https://t.co/SgRZjx35xN

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