著者
平田 和明 長岡 朋人 星野 敬吾
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.19-26, 2004 (Released:2004-07-14)
参考文献数
15
被引用文献数
13 14

鎌倉市の由比ヶ浜地域には大量の中世人骨が出土している静養館遺跡,由比ヶ浜南遺跡(単体埋葬墓),中世集団墓地遺跡(No. 372)および材木座遺跡の4遺跡があり,これらの出土人骨の刀創の特徴を比較検討した。刀創受傷率は材木座遺跡が最も高く65.7%であり,次に静養館遺跡が6.6%で,中世集団墓地遺跡は1.4%,由比ヶ浜南単体埋葬人骨は1.3%であった。刀創人骨のうちの斬創が占める割合は,静養館遺跡が100%,由比ヶ浜南遺跡が66.6%,中世集団墓地遺跡が75.0%,材木座遺跡が2.7%であった。一方,掻創が占める割合は材木座遺跡が82.3%で圧倒的に高く,中世集団墓地遺跡は2個体だけで25.0%,静養館遺跡と由比ヶ浜南遺跡の出土人骨には掻創は認められなかった。由比ヶ浜地域(前浜)は主として14世紀に中世都市鎌倉の埋葬地として使用されたと考えられるが,遺跡間および同一遺跡内の各墓抗間においても人骨の埋葬形態に差異があることが明らかであり,今後の広範囲な分野から更なる解析・検討が必要である。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (21 users, 21 posts, 34 favorites)

@boots_fleck1 時代は遡りますが、鎌倉の出土人骨は話題になることが多い気がします。 有名な材木座遺跡だと刀傷は頭部の掻傷が多く戦闘受傷ではないという見解が多いようですが、由比ヶ浜南などは深い打撃痕が見られるそうです。 https://t.co/MOkE2FSisq
https://t.co/ZfZ7hmcvOQ
これについては、鈴木隆雄『骨から見た日本人』と鈴木尚『骨が語る日本史』にそこそこ書かれてます◯ あと関連する論文(日本語)がオープンアクセスですので、気になる方は読んでみてください
ナショジオ(でした)でやってた鎌倉出土の人骨「戦士たちの墓場3 蘇るサムライ」関連の論文があった「 鎌倉市由比ヶ浜地域出土中世人骨の刀創」 http://t.co/MITdCNR5

収集済み URL リスト