著者
中西 友子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.217-222, 2017-04-05 (Released:2017-05-13)
参考文献数
8

2011年の福島原発事故直後から,東京大学大学院農学生命科学研究科では40~50人ほどの教員が,原発事故により飛散した放射性核種の現場における動態についての調査研究を開始した.汚染地域の8割が森林を含む農業関連地であり,その活動は現在でも継続して行われている.東京大学大学院農学生命科学研究科は,演習林,圃ほ場,牧場を始めとする多くの附属施設を保有していることから,これらの施設における研究ならびに,福島県農業総合センターや市町村,地域NPOなどとの共同研究も行ってきた.これらの調査研究を通して最も重要な知見の一つは,フォールアウトは,事故当時空気中にさらされていたものの表面に強く吸着されたことである.そして,現在測定される主な核種は134Csと137Csであるものの,フォールアウトは最初に吸着した場所からほとんど動いていない.このようなフリーのセシウムの化学的挙動は通常理解されているセシウムの化学的挙動とは異なる.研究開始から5年以上が経過したが,本論文ではこの間,私共が行ってきた研究の中から,現場における放射性セシウムの動きに関する成果をまとめて紹介する.

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日本語・無料なので読んでみました。一読した素人の感想としては、「長年、放射線や放射性物質をツールとして研究」してきた人にとっても、野に放たれた放射性物質の挙動を予測することは難しいようだ、ということですね。https://t.co/cJ11mCdEkF
論文(無料、日本語): 福島第一原子力発電所事故から5年を経過して農業面で何が分かってきたのか ― 東大大学院農学生命科学研究科の放射能汚染調査を中心に https://t.co/4vhHYtoj31  2017年、中西友子(東大)。

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