著者
笹井 理生
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.901-908, 1997-12-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
22

蛋白質の立体構造のイメージは我々に驚きを与える. 自然はどうしてこのような美しい, 精妙な構造を作ったのだろうか? そして, それに劣らず不思議なことは, ランダムな鎖にほどけている蛋白質が条件さえ整えば, 生理活性を持つ構造へ自発的にフォールドする能力を持つことである. 最近, 統計物理学的な視点でこのフォールディング過程の問題が扱われ, エネルギー面の統計的性質がその中心概念であることが明らかにされてきた. この見方は実験にも影響を与え, 新しい実験方法の開拓を促した. フォールディングの物理はこれまでの物理の枠を拡げて, 情報, 形, 進化を問題にする複雑系の科学を産み出そうとしているのかもしれない.

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日本物理学会誌は宝の山。なぜタンパク質は正しく折り畳まれるのか。 https://t.co/8VEnSDe8ba タンパク質の機能はその形が決める。だが、決まった並びのタンパク質にも無数のエネルギー極小状態がある。エルゴード的に探していては基底状態にたどりつくのに宇宙年齢くらいかかる。どうなってるの?

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