著者
水原 啓暁 山口 陽子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.12, 2008 (Released:2008-11-10)

複数の周波数での振動子ダイナミクスの協調は異なる脳皮質部位において表象された情報統合を実現する戦略の一つであり,記憶形成とのかかわりにおいて注目されている.本研究では,空間的に分離した脳皮質部位においてγ波により表象される情報が,θ波の特定位相で統合されることにより,陳述記憶の保持が実現されていることを示すために,新規な風景に関する記憶課題を遂行中の脳波計測を実施した.その結果,左前頭腹外側電極において観察されるθ波の特定位相において,右前頭腹外側電極および左前頭背外側電極において観察されるγ波が記憶保持中に増加することが明らかになった.このことは,空間的に分離した皮質部位においてγ波により表象されている新規風景に関する情報を,θ波の特定位相において同時に活性化することにより,これらの情報統合を実現していることを示唆している.

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