著者
野中 俊介 尾棹 万純 嶋田 洋徳
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.87-98, 2019-10-31 (Released:2022-02-19)
参考文献数
49

ひきこもり支援の初期段階においては,家族を介して間接的に支援せざるを得ないことが多い。 しかしながら,家族を対象とした心理的支援のどのような要因がひきこもり状態の改善に影響を及ぼすのかは明らかにされているとはいいがたい。本論考の目的は,ひきこもり者の家族を対象とした心理的支援を系統的に展望し,どのようなアプローチがひきこもり状態の改善に影響を及ぼすのかを予備的に検討することであった。文献収集においては,心理的支援の前後でひきこもり状態の改善を検討しており,日本語または英語でピアレビュージャーナルに公刊されていること,ひきこもり者の家族を対象としていること,という条件を満たす心理的支援の10本の研究を分析対象とした。χ2分析の結果,家族を対象とした心理的支援手続きのうち,「対応レパートリーの拡充」または「家族内相互作用の変容」を含む場合は含まない場合よりも,ひきこもり改善を示す者が多いことが明らかにされた。今後は,対応レパートリーや家族内相互作用に焦点を当てたアセスメントおよび介入研究を実施して知見を蓄積し,改善プロセスを明らかにする必要がある。

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「「ひきこもり状態にある人の家族を対象とした心理的支援の効果」2019,野中他という2016年までの論文を対象としたレビューを読んでても、近いところのは「認知行動療法」と書いてあるけれど、それが CRAFT だったりする。 https://t.co/Xk7OEfUZbW

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