著者
奥田 峰広 吉池 高志
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.13, pp.2115, 2000 (Released:2014-08-19)

皮膚の健常性を維持するためには,皮膚を清潔に保つことが重要であり,そのために各種身体用洗浄剤が古くより用いられてきた.一方,近年アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患と角層バリア機能との関連性が注目されている.そこで,本報では皮膚洗浄,特に洗浄剤中の界面活性剤やpHそして洗浄操作と角層バリア機能との関連について比較検討を行った.その結果,洗浄操作を行うことで角層水分蒸散量やリボフラピン浸透量を指標とした角層のバリア機能が影響を受けるだけでなく,その程度,すなわちこする操作の程度で角層バリア機能への影響が異なることも確認された.また,緩衝液を用いた洗浄では角層への影響は少ないが,界面活性剤を含むことで角層への影響に差が認められ,アルカリ性(pH9)では角層への影響が大きくなり,穏和な洗浄条件であっても角層細胞間脂質の溶出などの影響が認められた.一方,弱酸性(pH5)では角層バリア機能への影響も少ないことが明らかとなり,皮膚を洗浄する条件としては皮膚の生理的pHに近い弱酸性が望ましいと考えられた.

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