著者
糟谷 真宏 安藤 薫 尾賀 俊哉 大橋 祥範 久野 智香子
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.1-11, 2022-02-05 (Released:2022-02-15)
参考文献数
25

1926年から95年間継続した愛知県安城市の連用試験水田(黄色土)における,三要素それぞれの欠如および三要素に有機物連用を加えた処理が水稲の収量性に及ぼす影響を,養分収支や土壌化学性の変化との関係から整理した.水稲の精玄米収量は,試験年数を経るにつれ(無肥料区,無リン区)<無窒素区<(無カリウム区,三要素区)<堆肥750 g m−2施用区<堆肥2250 g m−2施用区の大小関係に収束した.養分収支は,窒素は無窒素区以外,リンはリン無施用の試験区以外はプラスとなったが,カリウムは,無窒素区,無リン区,稲わら堆肥2250 g m−2施用区以外はマイナス収支となった.交換性カリウムや可給態リン酸などの作土中濃度は,1976年から40年以上の間増減傾向は認められないものの,養分収支を反映した処理区間の差が認められた.三要素区,無カリウム区のカリウム収支は毎年マイナスであり,カリウムは土壌から収奪されているにも関わらず,三要素区,無カリウム区の作土の全カリウム,非交換態カリウム,交換性カリウム濃度に増減傾向が認められないことから,土壌中のカリウムは動的平衡状態に達していると判断され,土壌の風化に伴うカリウム供給の可能性が示唆された.

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愛知県安城には1926年(大正12年)から97年連続の連用試験田がある >日本の国公設試でこれまで行われてきた連用試験のうち,現存する最長の研究となっている https://t.co/fjuQHEXJ7g 作業時に長靴に付いた泥まで貴重だから持ち出さないようにしてるとか https://t.co/0xwvsCkTOb
愛知県の水田長期連用圃場 89年物のP https://t.co/kNeyR5VUD8 もなかなかだけど 95年物のK https://t.co/hvbgPNhbrF もなかなか 土壌中のKは「動的平衡状態」に達している

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