著者
浅野 久枝
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.519-536, 1984-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
39
被引用文献数
1 3

本研究は,三宅島に従来から住む住民自身の民族科学に従って,主として地形に関する民俗分類を検出し,伝統的環境観の復元をめざしたものである.その結果,以下のことが明らかになった. 住民の民俗分類は,決して単一のものではなく,いくつかの体系が重なり合っている.例えば,地形に対しての分類では,少なくとも2種類の体系が見い出せる.地形的には同一の対象に対し,一方では地形的形態からの,他方では生業形態に由来した名称が与えられている.同様に,同じ海岸地形に対し,視点の位置の違いにより,陸上からみた名称と,海底からみた名称との2種の名称が与えられている.さらに坪田においては,地形の民俗分類が主にテングサ採取の知識とともに語られることから明らかなように,生業形態の違いも異なる体系を生み出しているとみることができる.近似した環境においても,その環境の利用および認織は旧村ごとに異なる場合が少なくない.住民の価値観が環境を選択するためであり,ここに環境と文化との相互関係も見い出すことができよう.

言及状況

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調べてみました 岸およぴ海底地形に対して用いるようです、 ツシロ=釣りをする場所の総称でハナの様な所が多い、 ハナ=海岸部の出っ張っているところ 出典=東京都三宅 島におけ る地形 を主 と した民俗分類体系 https://www.jstage.jst.go.jp/article/grj1984a/57/8/57_8_519/_pdf

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