著者
石川 雄一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.387-414, 1996-06-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
32
被引用文献数
2 6

本稿では,郊外化がいち早く進展した京阪神大都市圏において,多核化へ向けてどのような動向が考えられるのかを,都心域と郊外核間の特性比較に焦点をあてて検討した.核の特性分析には,核の詳細な就業構造や多様な流動パターンを示すデータと,都市域よりも小地域単位のデータの利用が有効である.そこでこうした指標が利用可能なパーソントリップ調査を分析資料として,核の抽出と機能分類および交通利用パターン,核の勢力圏構造を検討した. 現段階では,京阪神大都市圏にはアメリカ合衆国にみられるような都心域を凌駕する郊外核成長の動向はみられないが,消費活動では階層構造的な「補完的多核化」が進展していることがわかった.そして就業活動では,弱い「補完的多核化」の兆しを示したが,機能的に都心域と類似した郊外核の成長はごくわずかであった.また女子就業構造・交通利用パターンにおいても,都心域と郊外核では異なる特色を示した.

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