- 著者
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梅田 聡
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.2, pp.265-270, 2016-06-30 (Released:2017-07-03)
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
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3
情動に関する神経科学的アプローチによる研究は, 近年, 急速に発展しており, その背景にあるメカニズムについて, さまざまな事実が明らかにされつつある。情動のメカニズムを理解するうえで特に重要な点は, (1) 情動は, 精神活動と脳活動だけでは捉えきれず, 自律神経を介した身体活動に着目する必要があること, (2) 脳活動について検討する際, 関連する脳部位レベルの局在論に限定せず, ネットワークとして理解すべきであること, の 2 点である。本稿では, 情動に関連する概念についてまとめ, 関連する脳部位とネットワークの機能に焦点を当てる。そして, 共感という側面から, 各ネットワークがどのように関与しているかについて考察する。