- 著者
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梅田 聡
- 出版者
- 日本自律神経学会
- 雑誌
- 自律神経 (ISSN:02889250)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.2, pp.70-75, 2019 (Released:2019-07-01)
- 参考文献数
- 29
- 被引用文献数
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情動の認知神経科学的アプローチによる研究は,近年,急速に発展しており,その背景にあるメカニズムについて,多くの事実が明らかにされつつある.情動のメカニズムを解明する上で重要な問いは,1)情動に関連する部位あるいはネットワークが,それぞれどのような役割を担っているか,2)自律神経機能がどのように情動の知覚や生起に関わっているのか,3)情動障害や自律神経障害を対象とした研究は,これらの学問的問いにどのような意義をもたらすのか,などにまとめられる.本稿では,これらの問いに答えるべく,情動に関する概念的定義を述べた上で,特に内受容感覚や島皮質の持つ機能に着目しつつ,近年の研究成果を概観する.そして,情動のメカニズム解明に「心-脳-身体」の相互関連の理解が重要であることを示す.