著者
丹羽 英之
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.2113, 2022-04-15 (Released:2022-06-28)
参考文献数
16

水生植物の生育域は人為的な影響を受けやすいエリアであり、外来生物の侵入が顕著になっている。水生植物の動態を理解し保全していくためには、空間スケールに応じたリモートセンシング技術の確立が重要となる。そこで、 Pole photogrammetryを応用した水生植物の詳細な植生図作成方法を提案し、湧水域で水生植物分布を定量的に把握することで、その有効性を実証することを目的とした。淀川水系桂川の犬飼川の合流点上流の河道内にみられる湧水流を調査対象地とした。カメラスタビライザーに取り付けたカメラで水域を撮影した。撮影した動画を SfM-MVS Photogrammetryで処理し、オルソモザイク画像を作成し、目視判読により種ごとのパッチポリゴンを作成した。作成したオルソモザイク画像の地上分解能は高く混生する種を識別することができた。オルソモザイク画像の判読により植生図データを作成することで、種ごとの分布面積が算出でき、定量的な分析が可能になる。さらに区間に分割して分析することで水生植物の流程分布を把握することができた。調査対象とした湧水流は出現種数が多く希少な湧水域の 1つだといえる。しかし、同時に外来種の侵入もみられることから、流程分布を考慮した生態系管理を実践していくことが重要である。

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