著者
矢部 隆
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.191-197, 1992-12-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
16
被引用文献数
10

1985年から1990年にかけて,三重県桑名郡多度町の一画において,ニホンイシガメMauremys japonicaの行動を調べた.捕獲率は,夏には雌の方が高いが,秋から翌年の春にかけては雄の方が高く,水中において歩行行動が観察される割合も秋から翌年の春にかけては雄の方が高かった.また低水温下における活動性も雄の方が高かった.調査地のイシガメは,秋から春までを谷川,あるいは池で過ごしていた.谷川の平均利用長は,標識再捕調査で2回以上捕獲できた成熟個体については雄71m,雌47mであり,電波発信器装着個体では雄99m,雌40mであった.求愛・交尾行動が1月と2月を除いた秋から翌年の春に高い頻度で観察されたので,雄の方が秋から翌年の春にかけて活動的な理由は,交尾相手を探策することであると考えられる.

言及状況

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@373maxi たしかにメスの方が大きいので、急流であっても上流まで戻ってきやすいのかもしれませんね。ちなみに、カメの先生のイシガメの行動圏に関する論文です。ご存知かもしれませんが、数少ないイシガメの生態に関する報告になります( https://t.co/fF0rNe5ydb )。

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