Controlled Digital Lending(CDL)とは、図書館によるデジタル貸出を米国著作権法のフェア・ユースにより可能とするために考案されたモデルである。CDLは、物理的な所有数と1対1対応でDRMを施したデジタル化した書籍の貸出を行うというものであり、CDL擁護者は、CDLはフェア・ユースに該当すると主張している。本稿では、CDL擁護者の主張を概観した上で、フェア・ユース該当性について、市場の失敗理論およびその修正理論をベースに検討を行った。その結果、いずれの理論の下でもCDLはフェア・ユースに該当すると考えられるとの結論に至った。日本においても、CDLは図書館の物理的な要因による情報アクセスの格差を解消するという、公益に資するものであるため、CDLを認める制度を設けることが望ましく、CDLの要件を踏襲した権利制限規定を設けることを提案した。