著者
重松 咲智子 久村 正樹 久野 慎一郎 中村 元洋 淺野 祥孝 橋本 昌幸 安藤 陽児 園田 健一郎 輿水 健治
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.262-266, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
11

喘息死の症例を経験した。患者は53歳男性, 動物病院で清掃作業中に喘息発作を起こし救急要請された。救急隊接触時は心静止であり特定行為で気管挿管され, 心肺蘇生を継続しながら病着した。病着後も心静止で蘇生処置にも反応はなかったため, 覚知から128分に死亡確認した。死因は気管支喘息増悪による呼吸不全と診断した。吸入ステロイド薬の普及により喘息死は減少したが, ここ10年は年間2,000人前後で推移しており, 吸入ステロイド薬普及の限界がいわれている。厚生労働省が展開する「喘息死ゼロ作戦」において消防などと病院前救急医療体制を構築している自治体は少ないが, 喘息死は予期せぬ急激な悪化が多く, 喘息発作に対しては患者に早期接触し治療を開始することが重要である。本症例は救急ワークステーションの救急車使用により患者に早期接触ができた。喘息死を減らすには, 病院前救急医療体制を構築していくことも有効であると考えられた。

言及状況

外部データベース (DOI)

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吸入ステロイドの普及により喘息死は減少。確かにここ数年喘息で救急車を呼ばれた記憶がない。ここ10年は年間2,000人で推移しており,吸入ステロイド普及の限界か。喘息死は予期せぬ急激な悪化が多く,発作に対しては患者に早期接触し治療を開始することが重要。 https://t.co/k8T0S3JmGN

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