著者
加藤 良平
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.68-77, 2020 (Released:2020-09-02)
参考文献数
18

近年は遺伝子変異に関する研究が急速に進み,多くの癌で遺伝子変異による診断,治療法の選択,予後の推定などが可能になっています。これまでの研究から,甲状腺癌には「遺伝子型-表現型関連 genotype-phenotype correlation」が存在することが分かってきました。そこで,ドライバー変異から甲状腺癌を大別すると,RET腫瘍,BRAF腫瘍,RAS腫瘍,PAX8/PPARG腫瘍,PAX8/GLIS腫瘍,APC腫瘍に分類され,さらにRET腫瘍は再構成と点突然変異群,RAS腫瘍はNRASとHRAS群に細分類されます。例えば通常型乳頭癌は,RET腫瘍とBRAF腫瘍に入り,濾胞型乳頭癌はRAS腫瘍に分類されます。濾胞癌はRAS腫瘍とPAX8/PPARG腫瘍,硝子化索状腫瘍はPAX8/GLIS腫瘍,篩型乳頭癌はAPC腫瘍,髄様癌はRET腫瘍とRAS腫瘍に分類されることになり,予後不良な低分化癌や未分化癌はBRAF腫瘍,RAS腫瘍に属します。いずれの組織型でも既知の遺伝子異常が100%を占めることは無く,未知な遺伝子異常に関してはさらなる研究が必要です。しかし,この様な分類(考え方)は甲状腺癌への理解を深め,将来の診断治療に有用な基準となるかもしれません。

言及状況

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@mayoi089 @tswaxAatkyoSSSS 落合先生の索引のとこだけコピーしたものが残ってまして,本文のどこにあたるかわからないのですが,この論文が引用されてました. https://t.co/hbap8QW5Zf OurPlanetさんにも出てきました. https://t.co/KPs2zuuOU1 伊藤病院の加藤良平病理診断科長と,大原総合病院の阿美弘史外科主任部長は同意を示した
この韓国論文だと p53の過剰発現と訳されますので、癌になる前は、抑止機能としてp53は発現するのでしょう。 問題は遺伝子変異の場合 https://t.co/hbap8Rd91f 癌抑制遺伝子のp16,p53の欠失 TP53はp53をコードする癌抑制遺伝子で,その変異は通常の乳頭癌では稀であるが,低分化癌では30%に陽性
モートン論文のキモは MAPK経路かな https://t.co/0iqX9Lq1Ru 癌原遺伝子であるc-Raf-1の下流に位置することから想像されるように、古典的MAPKカスケードの持続的な活性化は細胞のがん化へと繋がる。 こんな論文も https://t.co/hbap8QW5Zf
遺伝子変異による甲状腺癌の再分類 加藤 良平 https://t.co/ZXIN9AtV03
@Anti_Jigokudama この人も去年 特集があったのですかね 2020 年 37 巻 2 号 p. 68-77 https://t.co/hbap8Rd91f RAF遺伝子変異は欧米よりも日本,韓国などアジア諸国からの報告でより高率であることから,人種やヨードの摂取量との関係が示唆されている。しかしながら,詳しいことは明らかでは無い。
こういう論文も出てきているが https://t.co/hbap8Rd91f BRAF遺伝子変異は欧米よりも日本,韓国などアジア諸国からの報告でより高率であることから,人種やヨードの摂取量との関係が示唆されている。 チェルノブイリと違うのは違う要素じゃないのかな

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